~調理室前~
男子生徒による人だかりができている
~調理室前~
男子生徒による人だかりができている
…なんだかやたら人が多くないか?
家庭科部の部員…にしては多いよな
見るからに料理に興味がなさそうなやつもいるし
あの~…、調理室で何かあるんですか?
えっ、知らないんッスか!?
今日は俺たちのアイドル、家庭科部ちゃんが自らの手料理を振舞ってくれる日なのに!
アイドル?
はい!!
家庭科部ちゃんは可愛いし、料理も上手だし、何より部員じゃない俺らにもめちゃくちゃ優しい!!
アイドルってか、むしろ天使ですね!
は、はぁ…
ん?あれ…でも確か家庭科部さんって…
ええ!言いたいことはわかりますよ!!
家庭科部ちゃんは男子生徒…
でもそんなの可愛さの前には些細なことですよ!!
なかなかに末期だな…
なんというか、すごいな…
パッションがありますね~
とにかく!今日は週に1度のご褒美デー!
なんせ家庭科部の調理班が活動するのは週一だけですからね
ふむ、ということは僕たちも運良く料理が食べられるということだな!
良い日に来たよ
そうですね~
今日の調査先を家庭科部に決めてくれた化学部くんに感謝です~!
まあ知ってたし、あわよくばタダ飯を頂こうとしていたんだけどな…
~調理室内~
室内も家庭科部の親衛隊(?)で溢れかえっている
みんな~!お待ちどうさま!
今日はビーフシチューを作ったよ♪
うぉぉおおおお!!!
天使のお恵みだ!!!
わあ、いい匂いですね
いや、確かにいい匂いはするが…
な、なんというか、具材の断末魔が聞こえてきそうな見た目だな…
これだから素人は…
家庭科部ちゃんの料理は見た目こそ独特ですが、味は絶品なんですよ!
そ、そうなのか…?
だがものすごく食欲を誘う匂いではあるな…
あっ、理系部活の先輩たちだ~!
いっぱい作ったから先輩たちもたくさん食べてね!
いいんですか?
じゃあお言葉に甘えて、いただきます~
チャレンジャーだな、生物部…
まあオレもゲテモノ系は結構食うし…
他の人たちは美味しそうに食べているし、皆の味覚を信じて食べてみるか…!
実食中…
こ、これは…!
血の池地獄のような見た目からは想像できないが、めちゃくちゃ美味いな…!
こんな美味しいシチュー、食べたことないです~
あ、おかわりいいですか?
おい、生物部…
少しは遠慮しろって…
大丈夫だよ~!
いつもいっぱい作ってるから遠慮なくおかわりしてね!
わ~い
ありがとうございます~!
食事も終わり...
…さて、みんな帰ったかな?
待たせちゃってごめんね。部の事情が知りたいんだよね?
ああ。だが、見た感じ君のところは順調そうだが…
確かにそう見えるかも。
でも見て、お客さんたちが帰った後の調理室はこんなにすっからかん
…ねぇ、先輩。ボクのところ、今何人部員がいると思う?
えっ、それなりには…と言いたいところだが、ここに残った人数を見ると…
ここにはいない手芸班が5人、そして調理班が15人。そのうち”食べ専”が7人。
みんな美味しいところだけ持っていって、実際作ってみよう!って子はほとんどいないんだよね…
そうだったのか…
でもそれならなんで一緒に活動してくれるわけでもない子たちにお料理を振る舞ってるんですか?
それはボクが一生”家庭科部”だからかな…
ボクは家庭科部として生まれたからには他の部にはなれないし、美味しい料理を振る舞うことでしかみんなを幸せにできないからね…
お裁縫は芸術的センスがないからあれだし…
でもやっぱり一緒に活動してくれる子が欲しいとは思うよ!
部の存続とか、予算とかよりボクはそっちが大事
わかるぜ、オレたちにとってそれができたらどんなにいいことか
ゴメンね、しんみりさせちゃった!
また美味しい料理が食べたかったら遊びに来てね!
なんだかんだでボクはみんなに料理を振る舞うの、好きだから!
ああ、もちろん!
今日はごちそうさまでした
また遊びに来ますね~
今度はうちとコラボして光る料理でも作ろうぜ!
キャラクター紹介
文化部さんファイル7
家庭科部さん:料理も裁縫も得意なキュート系部活男子。センスはあるが絵心が壊滅的なため作るもの全てグロテスクな物体になる(味や縫製はめちゃくちゃ良い)。食べに来るだけの部員にも優しいが、本当はもっと作り手の仲間が欲しいと思っている。
ゆるめの部活&料理が食べられるという評判で食べ専門希望の入部契約者が多い。家庭科部さん的には不満だが部員がいなくなるのも困るので渋々受け入れているのが現状である。