こんにちは

参加者が1人しかいないチャットに、一つのメッセージが書き込まれる。

誰もいないんですか?

もしもーし?

さて、このチャットの参加者が1人の理由を語るには、まずこのチャットルームが作られた理由から話さなければならない。

もともとは、とあるオンラインゲームの仲良しメンバーが、ゲームをしながら雑談するために作られたチャットルームである。

作られた当初は3人から始まって、一番多い時には40人を超えて、最終的には13人に落ち着いた。

チャットルームに異変が起こったのは、最近のこと。
13人しかいないはずのチャットルームに、14人目のメンバーが現れてから。

名前は?

年は?

性別は?

どこに住んでるの?

今何してるの?

何か話そうよ?

いないの?

ねえ?

最初はみんな戸惑い、無視していた。

ねえ?

14人目のメンバーを追い出そうとはしたが、なぜかチャットルームにメンバーとして表示されていない。
表示されていない以上、追い出すことができなかった。

もしもーし?

気味の悪くなった1人のメンバーが、おそるおそるメッセージに返信をした。

誰ですか?

いるじゃん

チャットルームは12人になった。

返信したメンバーが、突然チャットルームから消えた。
退室の表示は出なかった。

おい、あいつをどうしたんだよ!

いるじゃん

チャットルームは11人になった。

メンバーは沈黙をした。通知を無視した。
可能な限り、関わらないようにした。

が、人間の我慢には限界がある。

あなた、いったい誰なの?

いるじゃん

チャットルームは10人になった。

もういや!! 恐い!!

いるじゃん

チャットルームは9人になった。

チャットルームは8人になった。

チャットルームは7人になった。

チャットルームは6人になった。
チャットルームは5人になった。
チャットルームは4人になった。
チャットルームは3人になった。
チャットルームは2人になった。
チャットルームは1人になった。
チャットルームは0人になった。

そして、今に至る。

もしもーし?
あれぇ、おかしいなぁ

チャットルームが1人になったのは、さっきもさっき。

……既読がついてる

このチャットルームを開いた、どこかの誰かの分。

いるじゃん

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