目が覚めると

そこは教会だった。

旅の勇者よ
どんな用事があるのかね

まだ勇者
ではありません

名前がわからない人間に使う言葉だ
気にするでない

気にしないことにした。

私はなぜ
教会にいるのでしょうか?

全滅するのは
初めてかな?

はい

おぬしのパーティは全滅して
ここに運ばれてきた

そうでしたか……

それはうっすらと記憶があった。
私は魔王を倒す勇者になるため、この街に来て仲間と修行をしていた。

やだやだやだナニコレ、
魔法が効かないんだけど!

怯むな!
攻撃を続けるんだ!

うわああああ!

ソウ!

俺のことは
構わず……

ソウ!
ソウ!

きゃあ!

マホ!

私のことはいいから
逃げて……

くっそおおお!!

おのれぇえ!

ああ
みんな!

なんてことだ
私しか残ってないのか?

ん?

モンスターが私に気づいた。

モンスターの足音が聞こえてきた。

センリ?

遠くで倒れているセンリを呼ぶ。

……

ただのしかばねのようだ。

マホ?

こっちも近くにはいなかった。

……

ただのしかばねのようだ。

ソウ……

を確認する前にヤツが来た。

あ……

それが、私が意識を失う前に見た景色だった。

では、
私の後ろをついてくる棺桶は……

おぬしの仲間の
成れの果てだ

神の力で
おぬしの後をたどっている

何かおかしいとは思ったけど神の力だったんだ。

どうして
私だけ生きているのでしょうか?

それはおぬしが
このパーティのリーダーだからだ

他の仲間は
リーダーではなかったから
死んだのでしょうか?

迷える子羊よ
諦めるでない

金を出せば、
おぬしの仲間を蘇生してやろう

お金
取るの?

神の力のみでは
教会は立ち行かないのだ

神であれば
迷える者を救ってくださいませんか?

神の理と
人の理は違うのだ。

棺桶がついてくる魔法が使えるんだから蘇生くらいタダでしてくれてもいいのに……。

神の理と
人の理は違うのだ。

私の心を読んだのか、神父は重ねて言った。

おいくらですか?

これが
料金表だ。

センリ(戦士)500
マホ(魔法使い)1000
ソウ(僧侶)1500

仲間の名前と料金が書かれてあった。

なぜ
金額が違うのですか?

レベルが高い者は
蘇生が大変なのだ。

3人で
3000……

それで命が還るのだ
安いものであろう。

たしか1500は持ってたから
ソウを蘇生させてあとの二人はソウに魔法で蘇生させよう。

そう思って財布を出した。

750しかない?

リーダーの蘇生は
持ち金の半分だ。

私の考えていることがわかったのか神父はそう言った。

そもそも
全滅したのに教会に戻されるのは
かなりの幸運なのだぞ。

わが教会の有志が
全滅パーティを発見すると
ここまで連れてきて我々で蘇生術をほどこす。

持ち金の半分で
命が得られたのだ。
運が良かったと喜ぶべきぞ。

ありがとうございます。
神父さまのご厚意に感謝いたします。

つまり私の蘇生料は750。
センリよりは多いけれどマホより少ない。

うむ。

ではセンリの
蘇生をお願いいたします。

そう言って、500出した。

神のご加護が
あらんことを。

アーメン

神父の言葉と共に、辺りがまばゆく光った。

モンスターは
どこだ!

棺桶のフタを跳ね飛ばしてセンリが出てきた。

……

複雑な心境だった。

目が覚めると

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