■弟が来た。






ある日、
主治医の先生に呼ばれました。




連絡を取りたい親族の方がいたら、連絡を取っておいて下さい




容態は安定しているように
見えていたけれど
痛み止めで抑えていただけなのか


痰が絡むようになって
息苦しそうな咳をしてたのは
覚えているのですが

そうでない時は
静かに目を閉じていて


それほど
悪くなっているようにも
見えなくて


でも
このあたり記憶が曖昧で







ただ
そう言われた以上、

兄ちゃんには言ったほうがいいわね

そうだね

”連絡しなければならない親族”

に、連絡をとらなければ
いけないわけで。
























実は私、
東京に
兄ではなく弟がいまして

弟なのに「兄ちゃん」なのは昔、

姉ちゃんばっかり「姉ちゃん」って呼ばれてズルい!

と言う理不尽なわがままから
「兄ちゃん」呼びが定着しましたわけで

東京で就職して
東京で家族を持って
そう簡単に戻って来られないのと

まだ言わないほうがいいよね

父と折り合いがあまりよくなく
父も弱った姿を見せたくないだろう

と言うことで

そうだね

今まで入院したことは
伝えていなかったのですが

(勘当されているわけではないです)




さすがに
そうも言っていられません。





弟がやって来ました。









弟はお医者さんから
話を聞いた後、

準備できるものはしておこう


と、地元の葬儀会館に足を運び、
会員になると葬祭費が安くなる
と言うので
その場で会員になり

会費1万円で20%OFFでした

パンフレットまで
もらってきました。




さらに

相続関係の書類は作っておくから

↑ 仕事(葬儀関係ではない)
で作り慣れているらしい。

戸籍とか除籍とか、俺らの分の戸籍も必要になって来るから

ただし、有効期限があるから早く取り過ぎても駄目

父の戸籍は私の住んでいる市で
取れるので
戸籍、除籍の手続きは私が
することになりました。
(亡くなってからですが)




そして
慌ただしく帰って行き













また
”いつもの”日常が
始まり――




緩和ケアの病室に移動しませんか

緩和ケアは治療をやめるわけではありません。
今の薬は投与しつつ、痛みを和らげることを目的にしていきます

「どう治療するか」から
「どう看取るか」を
考えなければならなくなり

……緩和ケア

……今より苦しくなくなるなら、いいのかな……






緩和ケアについて話している間、
父は眠ったように静かで

お父さん、緩和ケアだって。
薬は今のままでね、治療をやめるわけじゃなくって、でも今の苦しいのがちょっとは楽になるんだって。

どうしようかしらね

……






























そんな話のあった翌日。
朝7時頃。

お父さんがね、お父さんが

すぐ行く!


母が
「父が亡くなった」と
言ってきました。


弟が来た。

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