あのさ

ん?なんや?

部屋には少年と青年がいた。しかし、二人は家族でもなんでもない。青年は昨日、この少年の家に押しかけてきたのだ。

いや、押しかけてきたのではない。
急に降ってきたのだ。

青年は、何を隠そう、魔界の王。
そう、魔王だったのだ!

なんや?じゃねえよ?

アレ、いつ直してくれんの?

少年が指差したその先には、虚しく割れた掃き出し窓のガラスがあった。

そう、魔王が降ってきたとき。
窓を破って降ってきたのだ。

降ってきた魔王と寸でのところで頭突きあうところだった少年。
ぎりぎりかわしたので、体は無事だったものの、家の掃き出し窓は無事じゃなかった。

え?

いや、え?じゃねえよ?

てめえ、自分のしたことわかってねえだろ?

えー、うーん?

父と母に捨てられた、一人暮らしのしがない少年に幸せをお届けしにやってきた☆ってとこちゃうかな?

魔王はまったく素直に答えた。
心の底からそんなことを思っていたのだった。

捨てられてねーよ!!!

どっちもびっくりするぐらい俺を溺愛してるわ!!毎月100万円通帳に振り込んできて引くぐらいだわ!!

つーかお前魔王っつったろ自分で!!!魔王が幸せなんか届けれるかバーカ!!!

いやそんなことはどうでもいいんだよ!!!

人ん家の備品を壊したら

な・お・せーーーーー!!!

少年がひとしきり叫ぶのをいかにも楽しそうに眺め終わったあと、魔王はやれやれとため息をついた。

月100万円振り込まれてるんやったら自分で直せんちゃう?

……

どつくぞてめえ

おわり!

窓の修理代の話

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