01 西のBARより
急がなくっちゃ急がなくっちゃ。
おじょうちゃん急いでどうしたの。
急いでる子を見るとお邪魔したくなっちゃうぞオイラ。うふふふ。
可愛らしい音を立てて小人さんは潰れてしまいました。哀れコロボックル!
ギャッ なんか踏んづけちゃった!?
ああもう、それより急がなくっちゃ。
一時間前のこと
ひょーひょっひょひょ、ダナエよダナエ。
なんですか、おばあさん。
ちょいとお使いを頼まれておくれ。
こう暑い日が続いちゃたまらんのう。東のオBARもバテちゃおるまいか。
このフルゥツでも食べて元気になってもらおうじゃないか。ほら、西のBARからのお届け物じゃよ。
わあ! おばあさん、素敵な考え! わたしすぐに届けて来ますね。
東のおばあさまは森の奥で楽器を作っていらっしゃるの。
忙しくってなかなか外に出られないお方だから、町で人気のフルーツを持っていけばきっと喜ぶわ!
!?
その時です。茂みの中からガサゴソと音を聞こえるではありませんか。
怖がりなダナエは足がすくんで、動けなくなってしまいました。
ハーイ♡こんにちは。
だだだ、だあれ!
アタシはお腹をすかせた哀れなオオカミよん。何か食べるもの持ってなぁ~い?♪
食べるもの?
だ、だだだめッだめ。これは東のおばあさまに差し上げるものなのよ。
まーーーッ なんて心の狭い人なんでしょ!
というかオオカミよアタシ! フルーツなんて興味ないわ!全然!
アタシはお肉がほしいの。血も滴るナマニクがあれば最高!♪
ナマニク! あいにく手持ちがありませんよう!
あらあら御冗談。その首から下にぶらさげてる、柔らかそうなお肉を寄こせって言ってるのよ!
強盗なの!?
強盗どころではありません――!
いただきまぁす!
ふぎゃーーーーー!?
破れかぶれのパンチで悶絶するオオカミさん。ダナエはその先に逃げていってしまいました。
弱いオオカミさんで助かりました。それもそのはず、オオカミなんて言いつつ彼はチワワに過ぎなかったのです。
似たようなもんでしょ……
寄り添いたい側のみなさん、そう言います。
ふーーやれやれ。そしたら別の手段を考えるしかないわね。
さっきの子、おばあさんのところに行くとか言ってたかしら?
いくらアタシでもオババならイチコロよ♪!
先回りして罠にかけてあげるんだから。いまに見てなさい……!
森の中は危険がいっぱいなのね。
さあ急がなくっちゃ急がなくっちゃ。
続く