葉子

葉子

...

井川

あのすいません、お姉さん。今日はも
 うお仕舞なんでまた今度…

孝志

どうかしたか、井川?

葉子

…孝志?

孝志

葉子?

井川

あ、常連さんでしたか。失礼しました。
 まだ自分ココ入って日が浅くて…

孝志

井川、もうお前上がっていいよ。おつ
 かれ

井川

え?でもいいんすか?

孝志

いいよいいよ。前掛けそこにおいとい
 ていいから

井川

あ、はい。お疲れっしたー

井川

なんかキナくせー

葉子

ごめんね、何か。あー、びっくりした
 あ。勝手に東京離れたと思ってたから尚更
 …ご実家は?

孝志

兄ちゃんがそのまま畑継ぐっていうか
 ら。俺別に期待されてなかったし。このま
 ま住み着いちゃったよ

葉子

そっか。連絡くれればよかったのに

孝志

一体いつ別れたと思ってんだよ(笑)
 何にする?(メニュー出して)ここから選
 んで

葉子

え、いいよ悪いし。すぐ出る

孝志

いや、ちょうど一人分タネ余らしてた
 からさ。せっかくだから

葉子

そう?じゃあ…豚玉お願いします

孝志

はいよ。自分で作る?それとも

葉子

お願いします、ご主人

孝志

了解

葉子

ふふふ

孝志

何がおかしいの?

葉子

いや、そういえば孝志にご飯作ってもらうのってこれが初めてだなあって

孝志

え、ホントに?そんな事無い気がする。なあ、俺結構マメじゃなかったっけ?

葉子

自分の事だけね。だからとても今の姿は想像できなかったなあ。この仕事長いの?

孝志

そうだねえ、暖簾分けしてもらってから7、8年ぐらい経つかな?いや経ってないか…ごめん覚えてない

葉子

あれ?タバコ吸ったっけ?ごめん、わたし煙苦手なんだ

孝志

あ、そうだったっけ?ごめんごめん消すわ

葉子

いい音

孝志

そうだな

いい音だ

続く

胸いっぱい その1

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