山ノ下 かほり

鎌倉時代の太刀の話で、御屋敷で惨殺死体みたいな歴史上の事件とかの本ってありますか?

安田 酢太郎

思い付くのがあります?

司書

なるほど。鎌倉時代の本


司書さんはそう言って歴史関係の本のコーナーまで案内してくれました。

司書

この辺の棚のヤツですかね


司書さんが指し示してくれた一角の中に『太平記』という本がありました。

司書

鎌倉時代の歴史的な書物がありまして、これに何か関連していることが載っているかもしれません


「また何かあったらきいてくださいね」と言って、司書さんは去って行きました。

KP

棚と本がハッキリしたのでもう一回【図書館】振りましょうか

KP

本が分かっているので、+20でいこうかな

安田 酢太郎【図書館】⇒ 失敗
山ノ下 かほり【図書館】⇒ クリティカル

バサァッ。


本を開いたかほりは吸い寄せられるように、とある記述に目が留まりました。


初代執権北条時政が、毎夜夢の中で子鬼に苦しめられていた。
ある日夢の中で翁が現れ、時政所有の太刀の守り神であると告げる。
「わが錆を清めれば鬼を退治しよう」と言う。
言われたとおりにし、抜き身のまま枕元に置くと、
現れた子鬼の首をひとりでに倒れてはねてしまった。
その逸話からこの太刀を鬼丸国綱と名づけた。

山ノ下 かほり

子鬼?

安田 酢太郎

ほぉ~~


そこには太刀の写真も載っており、それはまさに安田が夢の中でバッサリと切られた見覚えのあるそれでした。

安田 酢太郎

これですね、夢に出てきたの

安田 酢太郎

忘れてたんですけどそういえば、夢から目覚める瞬間、おじいさんが言ってましたわ
“我を求めよ。さすれば鬼を退治してやろう”的な~?

山ノ下 かほり

安田さん、夢の中で切られたんじゃなかったでしたっけ?

安田 酢太郎

切られて、その後で声が聞こえたんだ

山ノ下 かほり

じゃあ夢の中ではアナタは子鬼なのかい?

安田 酢太郎

おっとお。そこに気付いてしまった?

安田 酢太郎

俺は子鬼だったのか……?

山ノ下 かほり

ハイ

KP

はい

山ノ下 かほり

わたし、【日本刀】技能持ちなんですけど、この刀の翁についてさらに何か知ってるってことはないですか?

KP

そうだね、翁については特に

KP

鎌倉時代のことなので夢物語としては残ってるかもしれないけど、流行の付喪神だなくらいの

安田 酢太郎

刀辞典的なものでこの刀を調べるっていうのは?

パンッパンッ!


かほりは手を叩いて司書さんを呼びます。

山ノ下 かほり

司書さーん
刀の本オススメのヤツあります?

司書

何の刀について調べるんですか?
人気の刀剣なんちゃらみたいなヤツを調べるんですか?

山ノ下 かほり

さっきの刀の名前全然メモれてない……

安田 酢太郎

これです


安田は本を広げて司書さんに見せました。

司書さんは一冊の本を出してきてくれました。刀剣の名鑑です。
【鬼丸国綱】は、三日月宗近などと並び称される立派な業物、所謂「天下五剣」と言われる有名な刀です。

安田 酢太郎

なるほどわからん
てんかごけん……何か強そう

司書

実はこの刀いま、市内にある近くの美術館で展示が行われているらしいですよ

司書

噂とかで御存知かも知れないですが、未遂も含めて刀の盗難が相次いでいますので、警察が調べを強化しているという話ですよ

山ノ下 かほり

あ。朝ニュースで聞いた気がする

司書

見に行ってもいいんじゃないですか?


司書さんは美術館のチラシをくれました。

山ノ下 かほり

近いみたいだし、行ってみます?
夕飯にも時間あるし

安田 酢太郎

まあ、折角なんで


二人が図書館から出て行こうとするとポスターが貼ってあり、そこにも【鬼丸国綱】と大きく載っていました
いま話題になっている展示のようです。

安田 酢太郎

入場料とかとられるかしら

KP

今は16時くらいかな

山ノ下 かほり

美術館閉まるんじゃない?

安田 酢太郎

早く行かないと


安田とかほりは小走りで美術館に向かいました。


美術館前。

KP

【目星】か【聞き耳】を振ってみましょう

安田 酢太郎【目星】⇒ 成功
山ノ下 かほり【目星】⇒ 成功


周囲の会話から今は時間帯的にも空いているので展示が見やすいこと、【鬼丸国綱】は企画展示室で展示されていることが聞こえてきました。

KP

どうしますか? 美術館に入りますか?

山ノ下 かほり

企画展示室に直行します

安田 酢太郎

目的の場所に


司書さんからもらったチラシには無料チケットがついていたので、二人は無料で入館できました。


企画展示室には人がいますが、混んでいて見えないというほどではありません。

ガラスケースの奥で刀身が輝いています。これは【鬼丸国綱】、天下五剣の一振りで名物と言われるに相応しい美しさです。
刃こぼれが一つありますが【国綱】の銘もハッキリと見えました。

周囲には女性が多く、安田は少々居心地の悪さを感じました。

KP

安田さん、もう一回【目星】を振りましょう

安田 酢太郎【目星】⇒ 成功


安田が展示を眺めていると、ガラスケースに反射して着物の男性の姿が見えました。
その男性は夢の中で見た老人に妙に似ています。

着物の老人は混み合う展示室を留まることなく歩き安田から遠離っていくかと思うと、クルッと振り返り、安田に向かって手招きをしました。

安田 酢太郎

かほりさん、夢に出てきたのあのおじいさんですよ
ちょっと追いかけてみます


安田は老人の後を追い、かほりも安田についていくことにしました。

二人は着物の老人を追い、企画展示室の外へ出ました。
人通りが少なく、倉庫などに繋がる通用口の先に、老人の姿が見えました。

KP

どうしますか?
そのまま追いかけますか?

安田 酢太郎

追いかけます

山ノ下 かほり

ついていきます


二人が追いかけていくと、着物の老人はスッと部屋の中へ入っていきました。

バァン!


安田は勢いよく部屋のドアを開けました。

KP

二人とも【目星】振りましょうか

山ノ下 かほり【目星】⇒ 成功
安田 酢太郎【目星】⇒ クリティカル


安田とかほりが部屋の中に踏み入った瞬間、背後でドアがガチャンッと閉まってしまいました。

pagetop