煌炎

・・・あちぃ。

花蓮

た、たしかに。

あまりの暑さに珍しく自ら帽子を脱いでパタパタと自身を扇ぐ煌炎に花蓮が全力で肯定する。


一行は北海道を後にし、いよいよ最後の七雄と相対するため茨木県に向かっているところであるが・・・現在、岩手県の道中である。

何にせ、この暑さが煌炎たちの足を遅れさせているのである。



それほどまでに温暖化は進み、この東北の地でも猛暑が人々を襲っていった。

北海道は北海道で寒かったですけど、今となればあの雪が恋しいですね。

煌炎

あちい、のど渇いた、かき氷喰いたい。
涼しいところで寝たい。

花蓮

もう、煌炎さん!
暑いって何回も口に出さないでよ。
余計暑くなってくるから!!

煌炎

あー楽に歩きたい。

とりあえず、水分補給をしないと。
そこの家の看板に宿泊可と書いてあるので、休ませていただきましょうか。

女将さん

はい、いらっしゃい。

失礼いたします。
旅の途中で少々疲れてしまったので、休憩にお茶をいただきたいのですが・・・。

女将さん

どうぞどうぞ、ゆっくりしていってください。

花蓮

んん?
私この旅館どこかで見たことがあるような・・・。

煌炎

は?
お前がいたとこからすっげー離れてるし、勘違いなんじゃねーの?

花蓮

あっ!!
思い出した!!
以前テレビでこのおうち、座敷童がいるって言われてたところだ!!

花蓮さんのおうちってテレビがあったんですね。
今となってはかなり高価でしょうに、やはり由緒あるお嬢様なんですね。

煌炎

ま、このご時世に肉をたらふく食った匂いさせてたんだからそうだろうよ。

花蓮

あのときのお肉の匂いは忘れてください・・・。

女将さん

お嬢ちゃんよく覚えてたねぇ。
あれは5年前くらいに報道されたのに。

花蓮

たしかここに宿泊するといいことが沢山起こるらしいって言われてたから、泊まってみたいと思って覚えてたんです。

へぇ!!
そうなんですね!!

花蓮

煌炎さん、ついでにここに宿泊していかない??

女将さん

・・・すまないねぇ。
数年前だったら是非にと言ったんだけど、今はこの宿に座敷童様はいらっしゃらないんだよ。

花蓮

え!?
いなくなっちゃったんですか!?

女将さん

あぁ、3年前くらいかねぇ・・・?
ぱったりと宿泊客にいいことが起こらなくなったんだ。
かといって悪いことが起こるわけでもないから、宿屋としては成り立っているんだけどね。

煌炎

・・・座敷童がいない・・・?
そうかぁ?

女将さん

まぁ、そういうわけだから良いことは起こらないが・・・泊まっていくぶんには大歓迎だよ。

とりあえず、最近は野宿ばかりで疲れがたまっているでしょうし。
本日はここに泊まらせていただきましょうか。

煌炎

そうだな。

女将さん

ではごゆっくり。

花蓮

煌炎さんさっき座敷童がいないって言われた時に不思議そうな顔してたけど、どうかしたの?

煌炎

・・・座敷童がいないってのならこの気配の正体がわからねぇからな。
いないどころか俺たち以外に2人分の気配がするんだけど。

・・・確かに、私も先ほどから気配を感じておりました。
しかしどうやら敵意は全く感じないので、敵襲ではないと思うのですが。

花蓮

気配ってどこから・・・。

煌炎

ここ。

へっ!!??

わっ!!??

花蓮

!?

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