コト

あっくん、あっくんは優しいんだから意地悪しちゃダメだよっ。

アッコロカムイ

コ、コト。

コト

ちゃんとごめんなさいしたらこのお姉さんもきっと許してくれると思うよ。

玄奘

・・・・。

コト

あっくん・・・。

アッコロカムイ

・・・・・・。

玄奘

・・・・・。

アッコロカムイ

・・・・・わ、悪かった・・・。

魚雷殿

・・・主様。

コトにうながされ、蚊の鳴くかのような声でアッコロカムイが謝罪する。

それに対して玄奘は大きくため息をついた。

玄奘

・・・本当は許せないくらいのことをしたのよ。
あなたたちが水面鏡を妨害したせいで那切ちゃんたちの異変にあたしは気づけなかった。

煌炎

―・・・。

玄奘

でも生きていれば過ちはあるもの。
今回は可愛い彼女に免じて許すわ。

エト

げ、玄奘様。
それでいいのですか!?

玄奘

ただし、あなたにはあたしの元で手取り足取りしっかり働いてもらうわよ。

アッコロカムイ

・・・玄奘・・・。

玄奘

あたしの元で働くからには言葉遣いや所作に気を付けること。
・・・そうね、でもその見た目だと動きにくいだろうから。

アッコロカムイ

な、なんだ!?

玄奘がアッコロカムイに向かって手をかざすと―。

アッコロカムイ

これが・・・俺?

玄奘

動きやすいように、後は当分悪さできないように力を封じて人間の姿にしておいたわ。
後はあたしの趣味ね♡

煌炎

いや、8割がた趣味だろ。

花蓮

・・・・!!!!!

煌炎

何めん玉ひん剥いてあほ面してんだ。

花蓮

だ、だってあんなタコが美形に・・・!!!
私も玄奘さんに頼んでボンキュッボンに・・・。

煌炎

バーカ。
偽の乳や尻作って悲しくなんねーの?

花蓮

くっ・・・確かに。

煌炎様、もう少しオブラートに包んで進言差し上げた方が・・・。
女性に対してセクハラですよ・・・。

煌炎

こいつのどこが女性だよ。
ただの乳くせーガキじゃねーか。

花蓮

ひっ、ひどい!!!

魚太郎

うっわー、俺たちどうするよ。
いきなり職失っちゃったよ。

魚雷殿

仕方あるまい。
主様が戻ってくるまで待つしか・・・。

玄奘

貴方たち、あたしのセンサーに気づかれずに水面鏡を妨害してた働きを買って尋ねるんだけど、あたしの元で働く気はない?

魚太郎

・・・おいおい、玄奘なかなかいい奴じゃねーか。

玄奘

おそらく、手駒がなくなった幕府はあなたたち以外の手駒を探してまた何か仕掛けてくると思うの。

魚太郎

幕府の指示で俺らが妨害してたってのもお見通しだったってわけか。

魚雷殿

そして我らにその見張りをしろと?

玄奘

洞察力も申し分ないわね。
ご名答、頼めるかしら?

魚雷殿

主様が玄奘殿の元に行くのであれば、玄奘殿が我らが主も同然。
断る理由がありませぬ。

玄奘

交渉成立ね。

一件落着ですかね。

煌炎

それはそうと玄奘、こんなとこに自らお出まししてっけど俺の刀の件は片付いたのか?

玄奘

当然よ。
伊達に人気の鍛冶屋はしてないわ。
溜まってる予約を置いて煌ちゃんの剣を優先したもの。

煌炎

助かる。
ここまで幕府の被害が及んでるとなると、急いだ方がよさそうだったし。

玄奘

さて、屋敷に戻りましょうか。

コト

・・・・。

玄奘

ほら、あなたも行くのよ?

コト

へっ・・・?

玄奘

好き合ってる人たちを引き離すほどあたしは鬼じゃないわ。
あなたもいらっしゃい。

コト

アッコロカムイ

っ・・・///

玄奘

いきましょう。

こうして北海道の一件はなんと解決し、煌炎の剣も見事もと通りになったのだった。


そのまま煌炎一行は北海道を後にし、次の県に向けて足を進めていった。

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