ただいまー

おかえり、妹よ

どしたのお兄ちゃん

ああ、なんというべきか……

……今日も損をした

あ、そう

私の兄はよく損をしている

本人は普通に生活をしているだけらしいのだが、なにかと損することが多いらしい

それで？
今日はなにがあったの？

ああ、あれはな……

今日は暑いな……
のどが渇く……

あれは！？自販機！！

ありがたい
これは神の恵みか……

なんで外で一人なのにそんなに喋ってるの……

気にしないでくれ、いつもそうだろう

いや、家の中で独り言多いのは知ってたけど、外でもとは思わなかったから……

ま、まあ、いいじゃないか
続きを話すぞ

ん、小銭がないな……
お札も小さいのはないな

仕方ない、五千円で買うしかないか

ん？

品切れなのか？
仕方ない、別のところで買おうか

……あれ？

ま、待ってくれ！
それは！それだけは！！

そ、そんな……
飲み物が買えないだけじゃなく、
俺の一葉が……

俺の……一葉……

こうして、俺は一葉と別れてしまった訳だ

一万円札を諭吉って言ってる友達はいるけど、五千円を一葉って言ってる人は初めて見たよ

あと、それ普通にお兄ちゃんが悪いよ

なぜだ！
俺には飲み物を買う資格がないとでもいうのか！

自動販売機ってお札は千円札以外対応してないんだよ

…………

普通は返却されるけど、対応してないお札を入れたんだし仕方ないんじゃない

……そうか、なるべくしてなったというわけ

そんな定めみたいに言われても

まあ、この飲み物あげるから元気出しなよ

優しいな妹よ
既に喉は潤ってるがその優しさで心も潤うよ

まあ、好きなように受け取ってもらっていいけどね
私は部屋に戻るね

あ、そういえばさ

ん？どうした？優しい妹よ

その飲み物買った時、運が良かったのかお釣りの口からお札が出てきたんだよね

え？

おかしなこともあるなーって思ったけど、ラッキーって思って飲み物は飲まずに持って帰ってきちゃった

妹よ！まさかそのお札とは！！

じゃ、お兄ちゃんはその飲み物を味わってね～