~怪盗たアマナゾの
予た告状~
てっ、テンテキ警部! また奴から予告状です!
うぐぐぐぐ……全国交通安全運動強化月間の真っ最中に……じゃなくて、予告状(編集済み)を見せろ!
怪盗アマナゾをご存じでない方のために説明いたします! 怪盗アマナゾは中二病満載の予告状を書くため、見るとテンテキ警部はアレルギーを起こしてしまうのであります!
はいっ!
(警視庁アマナゾ対策本部割愛班により編集済み)
~怪盗たアマナゾの
予た告状~
みったかごのしたん
や1た2じにアたラ
ソイおうたこくのし
んたでんのおたから
をたいただくた
たぬき
アイツやる気あるのかっ?!
『たぬき』がなくてもこんな文面じゃ『た』が入ってることくらい簡単にわかるだろ?!
あー、よくある『たぬき』だから本文から『た』を抜けっていう
……説明してて自分で悲しくなってきました
おいやめろ、悪寒がする!
にしても、あいつ、また場所をきちんと言わずに……
いえ、問題ありません
あ?
暗号を読むと『三日後の深夜12時にアラソイ王国の神殿のおからをいだく』ですよね?
ああ、たぶん『おから』じゃなくて『おたから』、『いだく』じゃなくて『いただく』ってつもりだったんだろうな
アラソイ王国には『神殿』は一つしかありません!
マジか!
ただ、我々が向かうのに丸一日半かかりますが
あ?
アラソイ王国は半分をかの凶悪な斜面で有名な霊峰エスカレータ山脈、半分をママゴト大運河に囲まれた秘境中の秘境です
……
だから『三日後』なのかと……
警部、乗り換えです
警部、乗車券を買って乗り換えを
警部
警部
警部、最後の乗り換えです
あちゃー。近くに他の交通手段ないか聞いてきますね
警部
警部
警部
警部
……警部?
し、死ぬ……
あれ、警部昔は世界中を飛び回って怪盗どもの相手をしていたと聞きましたが
先に予告状でHP削られてなきゃまだまだ余裕だったんだがな……
もう年とかまだ認めねぇ
H(はらへり)P(ポイント)?
H(ホーム)P(ページ)?
こんな旅にあまり人員連れてこれなかったから現地警察を使わなきゃいけねぇってのに、言葉分かんねぇし……
出張解説いたします! アラソイ王国の言語は非常に難しくマイナーなアラソイ語であります
いいからさっさと通訳しろよ
あくまで解説班の自分には無理であります
お前なんで来た?!
あ、こんにちはー。あなたが今回お世話になるアラソイ国警察のスッタモンダさんですか?
はーい、ようこそツキソイー
ビシッと怪盗さん捕まえましょう
は
そうか!
お前マイナー言語コレクターだったな!
でかしたツキソイ!
えへへ
よぉし、これで奴をとっちめてやらぁ!
はあ、これが噂の、耳栓をして聞くテンテキ警部の怒鳴り声ですか
僕らのことどんな噂になってるんです?!
何の話をしてるんだ?
さて……ショータイムだ♪
現地語で華麗に怪盗アマナゾ参上♪
ついでにお宝の宝石もすでに頂いてます♪
あっ! アマナゾが現れました!!
追えーっ! 追うん……
怪盗アマナゾ様ですってーーーー!
キャー!
アマナゾ様ー! こっち見てー!!!
あれ? 俺めっちゃ人気者?
……あの現地民ども何してる?
さあ……言葉が分からないのでボクニハワカラナイナー
やべー! ファンサービスの用意が帽子に隠してたカラスしかいねー……
……と見せかけて!
オカメインコに変身だ!
アマナゾ様素敵ー!
もっと間近で見せてー!
あり? 結果的にギャラリーで超逃げづらくなってね?
キャー! 逃げてると写真撮れないから捕まえるぞ! お前ら絶対に逃がすな!
Oh
……俺にもさすがになんとなく分かったが何て言ってるんだ?
警部スゴイデスネ僕ワカリマセンー
お前イサカイ・アラソイ民族諸語派検定1段こないだ取ってただろ……
……マダ結果届イテナイノデ1級デスヨー
クソ……だが、ここの奴ら凶悪なファンとしての動きは優秀だな……楽屋裏の出待ち、写真からの住所特定のごとき執念を感じる……
何言ってるんだ?
い、いえ、なんでもありません
よぉし追い詰めたぞ!!!
くっ……
あんな簡単な予告状を書いたことを檻の中で後悔するんだなっ!
いやどっちかっていうとファンたちのおかげ……
あん?
い、いえ
ふっ……俺としたことが……スペシャルフレキシブル完璧な怪盗計画が少しばかり狂っちまったぜ……
ファンサービスで現地語で喋ってやがる
でも残念♪
ここには抜け道があるんだなぁ
何だと……?
?
おい奴はなんて言って……
じゃ、あばよ
な、アマナゾがママゴト運河に飛び込みました! まさか泳いで逃げると?!
何だと? すぐに船で追うよう応援を要請して……
……テンテキ警部、恐れながら
なんだ?
お前が俺を恐れたこととかないだろ
……大学でこのママゴト地域の地理を卒論で研究した記憶から申し上げますと、このママゴト運河は、イサカイ王国とアラソイ王国の国境です
ん?
つまり、その、この運河は、どちらの地方警察の管轄でもなく……ついでに言えば、その、今利権を争って緊張状態の場所で
んんん?
つまりアラソイ国はおろかイサカイ国でも船は出せません……
キャー! アマナゾ様! 水も滴るいい男!
また怪盗して!
ついでに言えば、確かに僕はテンテキさんのことは一応尊敬してますが恐れたことは一度もないです……
ちっ……
くしょおおおおおおお!!!
アマナゾー
ん?
なんでこんな辺鄙なところの、たいして価値もない宝石なんて盗んだの?
ふ……この土地の人々にとっては、特別なお宝さ……
そういうのいいから
……
……かつて、大怪盗ケッサクがこの国で宝玉を盗んだ時……まあ、そのときからここの住民、怪盗ファンが多くなったらしいんだけど
何それ
……指紋を遺しちまったんだとよ、うっかりこの宝石に
……何それ。聞いたことないんだけど
っていうか、なんでそれでアンタが出張るの? ケッサクのファンで指紋が欲しかった、とか?
……
稀代の怪盗ケッサクのファンじゃない怪盗なんて、いないよ
……?
って、ちょ、まだ切んないでよ! ……言っても遅いけど……
何なのよ……
~フレキシブル怪盗アマナゾ 第二話 了~
待って待って続かない続かない
やったーーーー!!!アマナゾ続編!!!カイセツさんんも「本物の」がついた!
とりあえずまずは「え?おから?え、おから???どうすんだアマナゾ!!!!!」って思いながら読みました^^
また続くといいなぁ。
感想書こうと思ったら、アスカさんとそっくり同じな内容で勝手に笑ってます!!
やったーーー!!!本物のカイセツさんだーーー!!!
おからを盗むに何事もなく触れないアマナゾ様すてきーー!!
カイセツさんの小ネタ拾っていただいて満足です!
おからについてはちゃんと間違ったと言及しようと思っていたのにファン(?)の前で格好つけてるうちに機会を失ったアマナゾさんでした。