いつも思う事だけど、
こんな平凡な顔を人気モデルの顔へと
変えてくれる聖也さんのメイク技術はホント神だ。

聖也

んー、じゃあ目ぇ閉じてねー

はい

全てを委ねるように瞼を閉じる。

聖也

ふふっ、この表情ってさ、まるでキスを待ってる
みたいよねぇ……してもいい?

ダメです

聖也

まーたんのけちんぼー

会話の内容は置いといて、
聖也さんはこんな風にメイクされてる人を
退屈にさせない。

ホントすごい人だ。尊敬する。
……ちょっとチャラいところさえなければ。

ささやかだった二重がくっきりおメメの
綺麗な二重になり、アイシャドウがのって、
目の淵にラインが引かれる。

口は派手すぎないリップで薄っすら色づけ、
グロスでぷっくりツヤツヤに。

次々と手際よく施され、
ものの数分でメイク終了~。

聖也

はーい、メイク完成。お疲れさま

ありがとうございます

聖也

それじゃ、ウィッグも付けるねー

ピョンピョン跳ねまくっている俺の髪を
ネットの中にしまい込み―― 、
上からロングの黒髪ストレートなウィッグを
被せられる。

取れないようピンでしっかり固定して、
少し整えてからカチューシャを乗っければ、
カリスマティ-ンアイドル・神宮寺 ミオの完成。

聖也

今日はワンピースに合わせて清楚系でまとめてみましたー。うん、我ながら完璧ね

ガチャッ ――

手嶌 柊二

準備できたか

丁度いいタイミングでチーフマネージャーの
手嶌 柊二さんが戻ってきた。

聖也

はい。オッケーでぇす

そして、手嶌さんが押さえてくれているドアから
俺を先頭に3人並んで出ていく。

ここから出れば俺はカリスマモデルのミオだ。

いつも堂々としているミオにならなくちゃ
いけない。

今日の撮影も何事も無く終わるといいけど……。

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