この王国には、12人の王子がいる。
それぞれの王子には、長男から順に
王位継承権が順番に与えられていました。
真面目で博識な第一王子
柔和で心優しい第二王子
お転婆で植物が好きな第三王子
病弱で織物が得意な第四王子
物静かで神話が好きな第五王子
星空の絵を描くのが好きな第六王子
庶民的で素朴な第七王子
背は低いが笑顔が素敵な第八王子
町の菓子屋に弟子入りした第九王子
放浪癖がある第十王子
明るく誰からも愛される十一王子
そしてーー
この王国には、12人の王子がいる。
それぞれの王子には、長男から順に
王位継承権が順番に与えられていました。
真面目で博識な第一王子
柔和で心優しい第二王子
お転婆で植物が好きな第三王子
病弱で織物が得意な第四王子
物静かで神話が好きな第五王子
星空の絵を描くのが好きな第六王子
庶民的で素朴な第七王子
背は低いが笑顔が素敵な第八王子
町の菓子屋に弟子入りした第九王子
放浪癖がある第十王子
明るく誰からも愛される十一王子
そしてーー
王子ってこんなに必要なのかな
急に何を仰っているのです?
僕のような末弟の王子にも、こうして騎士がついている。でも、本当に必要?もっと騎士が必要なところってあるんじゃない?
………王子、今度はなんですか
この前、第三王子の代わりに行った村…あそこのしきたり
しきたり?
10年に1度、滝壺に生贄を捧げるって話さ
ありましたっけ、そんなの
あったよ。本当に君は話を聞いてないんだね
私は王子の騎士…あなたを守れればそれで…
ああもう、そういうのはいいから…生贄を捧げたって、変わらないものは変わらないのに…
村人は、それを信じるしかないのでは?
原因はなんだろう。僕らで解決出来ないものかな?
無理ですね
考えもしないで!
生贄を捧げる意義は大きくわけて二つ。神に捧げて怒りを鎮める。もう一つは、化け物に捧げてその場しのぎにする
神様は10年ごとに生贄なんてもらって嬉しいかな?
知りませんよ。神様じゃないのですから
急に知らない人がそばに来たって、困っちゃうと思うんだ。だからきっと化け物だよ
そうですか。至極興味が無いですが
化け物相手なら君が……
嫌ですよ。どうして見知らぬ村人のために私が身を粉にして戦わねばならないのです
騎士は人を守るものだろう?
私はあなただけの騎士です
けち
けちで結構
あーあ…次の生贄、僕が代わってあげられたら……
悪い冗談はよしてくださいよ。あなたは王子なのですよ?
王子だって村人だってら同じ命だろう?だったら何も変わらない。いいじゃないか
あなたは何をそんなに感情的になっているのです?
………騎士なら分かるんじゃないの?
分かりませんとも。さあ、明日も早いですよ。そろそろ寝ませんと
…………ねえ、騎士
なんです、王子
守りたい人ができるって、辛いね
ようやく自覚されましたか。あなたが守るべきはーー
ーーこの王国には、12人の王子がいる。
それぞれの王子には、長男から順に
王位継承権が順番に与えられていました。
王子、王子!!ああ、あなたは何を考えているのですか!!
真面目で博識な
第一王子
ねえ、騎士
柔和で心優しい
第二王子
道を開けなさい!!王子!王子!!
お転婆で植物が好きな
第三王子
綺麗な景色だ。これが、彼女が見るべきだった風景か…
病弱で織物が得意な
第四王子
元々の生贄はどうしたのです!?王子、そこから動かないでください!!
物静かで神話が好きな
第五王子
ねえ、騎士。剣がなくとも、人は守れるんだよ
星空の絵を描くのが好きな
第六王子
王子自ら志願した…?王族のいうことには逆らえず…?何を言っている!!あの方は…!!
庶民的で素朴な
第七王子
騎士は僕の憧れだったよ。人を守るのって、気持ちがいいよね
背は低いが笑顔が素敵な
第八王子
退きなさい!!首を切り落としますよ!
町の菓子屋に弟子入りした
第九王子
だから、こんな役回りでも、僕はとっても幸せだったよ
放浪癖がある
第十王子
私の、王子なんだ!!
明るく誰からも愛される
十一王子
ねえ、騎士…僕の騎士らしくさーー
そしてーー
王子、今行きます!だから!!
すべての災いを引き受ける、
身代わりの
第十二王子
僕の代わりに、兄さん達や彼女を守ってあげてよ
ねえ、お父さん
うん?
どうして、王子様は12人も必要なの?
さあ………どうしてだろうね
お父さんには、分からなくなってしまったよ
ある王子の、守りたかったものの話
……ああ、お前か。
お嬢様は、もうお眠りに?
ああ、ついさっきね。
左様ですか…村長がお呼びですよ。
大切な話があるとか。
大切な話?……ああ、アレがまた悪さを始めたかな?
そのようです。どういたしましょう?何なら、私一人で…
いいや、行くよ。
……言っただろう?
誰かを守ることは、気持ちがいいって。