第4幕
苦い現実
第4幕
苦い現実
ブリュレさん…
………ああ、ベルリーナ…
ごめんね…ちょっと、気分が優れなくてさ…
…………いえ…
……帰ろうか。もう遅いし…
………あの…
これ、洋服…ちゃんと乾いてたけど、帰ったらちゃんと洗濯しなきゃダメだよ。雨って結構汚れてるからね
……はい
…………行こうか
…………
…………
……あの、ブリュレさん
今日は、晴れていれば星が良く見えただろうね…雨のあとは、空気が少し綺麗になるんだ。雨が、空気を掃除してくれるんだよ
そう考えると、雨って働き者だよね…作物を育てるのにも役立つし、それに…
サヴァランさん!
……きいて、ください…
………なに?
お父様から…聞きました、お話…サヴァランさんは…
お家を継ぐ気はないのですね…?
………ああ。そうだよ
…悲しんでいましたよ…
…そう
もう一度、話をしたいと仰っていました…
…….そう
……あの…もう一度、お話してみてくれませんか…?何があったかは分かりませんが…お父様、後悔していましたよ。
貴方の話を、もっと、ちゃんと聞くべきだったって…
……そう
…あの…だからーー
ベルリーナ
…はい
…………
……失望したよ
………え……?
君は、もっと頭のいい子だと思ってた…でも、違ったね
…何を…
分からない?…いちいち言わなきゃ、分からないかな?
その話は、君には関係ないだろう…首を突っ込まないでくれ。
っ……なんで…?
なんで?むしろこっちがなんでだよ。
君は、僕のことなんか好きでもなんでもないんだろう?なのに…どうしてそう、勘違いさせるような…期待させるようなことをするんだ?
私は…べつに、そんなこと…!
………君のそういうところ、僕…
大嫌いだ
っ………!
………どうしてそんな顔するの?それが嫌なんだって、僕言ったよね?
……どい……
………
私も…
あなたなんか、大嫌いです!!
………はは…あはは…
ああ、ほら。だから言ったんだ…
………………ツイてない、なぁ…
風の音が、うるさい
なんで…
どうして…
どうして、そんなことを言うのですか…!
ひどいです…どうして…!
嫌い…嫌いです…サヴァランさんなんて…あの人なんて…!!
ぅあっ!!
………ったぁ……
………服が…
…ちゃんと、洗って返さなきゃ…
……?
こんなの、入ってましたっけ…?
胡桃のキャラメリゼ…いつの間に…
と…ネックレスと、メッセージカード…?
………!
………分からない、です…分からないですよ…サヴァランさん…!!
私は…あなたが分からないーー
ーーサヴァランくん?
………ファウスト…なんで…?
なんで…と申されましても…一応、ここは僕の敷地ですからね。それより、あなたがいることの方が驚きですよ
……今日は泊まらせて…迷惑だったら、明日からほか行くから…
ここは貴方の基地ですから。お好きにしてもらって構いませんよ
……ごめん
お構いなく
………ファウスト、次の依頼、ない?
次の…ですか?
昨日ひとつこなしてもらったばかりでしょう?休んだ方がーー
やりたいんだ。すぐに…キャラメリゼになりたい
………そうですか
まだ見つかってない?
いえ…場所の検討も、ものも決まっていますが…
それ、盗りに行く。明日にでも、すぐ…
落ち着いてください…あなたは怪盗でしょう?予告状はどうするのです?
……今書く
急いては事を仕損じますよ。ひとまず、ホットミルクでも飲んで、落ち着いたらどうです?
……………ファウスト
…何でしょうか
………消えたい
………!
……それは困ります。あなたにはまだ、やってもらいたいことが沢山ありますから
………あんなこと、言いたいわけじゃなかったんだ…
そうですか
でも、気づいたら全部言ってた…俺、おかしいのかな…
……そうですね。ちょっとおかしいかも知れません
…………
少し頭を冷やしなさい。予告状、出してもいいのなら、こちらでやっておきます。では
……………………最低だ、俺…
第4幕
ベルリーナ
La fin
クローウィングオパール