ーーハコニハ・ノクスゼロ入り口
ーーハコニハ・ノクスゼロ入り口
なんで…こんなことになっちゃったんだろう…
あの……を差し置いて…
あんな子…………清々するけれど…
どうして、俺なんかが急に…勇者なんて…
ツヴァイ!!
……あ…
良かった、間に合った…!
アインス…
みんな意地悪だよね!ツヴァイの出発の時間、間違って教えてくるんだ…疑って良かったよ
……アインス、ごめん、俺…
ごめんって、何が?
……勇者…本当は、お前が勇者になるべきだったのに…俺があの時、冗談半分で…剣を…
ああ、それか!
確かにびっくりしたよね…僕にしか抜けないって言われてたのに、君、あっさり抜いちゃうんだもん!!
何も謝ることはないよ。勇者の剣は、僕じゃなくて君を選んだ…剣の選択は絶対だよ。だから、自信を持って!
アインス…
君一人じゃ、ちょっと心配だし、正直ついて行きたいけれど…旅の仲間は決まっているからね。
ちゃんと仲間を頼って、強くなって…魔王を倒してね。応援してる!
あっ…でも、無理はダメだよ。君、すぐに無理するんだから…
………うん
ツヴァイ…
……!
いってらっしゃい。僕、待ってるから。
…………うん
行ってきます。
………そうだ…あの時…あんなこと、思わなければーー
一週間前
ーーハコニハ・ノクスゼロ郊外
………誰か来た…
ついに来週だってな
ああ…アインス様が旅立たれるんだっけか
そうそう!我らが勇者様がよ!!
やっと報われるんだな…あんなきっつい『修行』…俺だったら絶対投げてたぜ。
な!ホントすげえや、アインス様は…
おら、餌だ
………
んだよ…あんまし見んなよ忌み子!!死んだらどうすんだ!!
落ち着け。あまり突っかかると、本当に殺されるぞ
ちっ…お前も、魔王と一緒にアインス様が消してくれれば良いのにな…
……まあ、それは言えてるな。勇者が生まれた年に、忌み子まで一緒に生まれちまうなんて…とんだ厄年だ
おまけにアインス様は、何を思ったかお前をたいそう気に入っておられる…それを知らず、お前に手を出して病院送りにされたやつは何人もいる…
なあ、どんな呪術を使ったんだよ?お前は、アインス様に何をした?
………
……はあ…めんどくせえ。アインス様が旅立たれたら、これを擁護するやつはいなくなる。
それまでの辛抱だ
………!
まあ、そうだな。アインス様さえいなければ、お前なんてーー
僕が…何だって?
なっ…!?
あ、アインス様…!!
食料を持ってきたら、すぐに帰るように言っていたはずだよね?無駄話をしている暇があったら、自警団の仕事に戻ったらどうだい?
は、はい!!申し訳ございません!!
失礼いたします!!
まったく…
大丈夫、ツヴァイ?何もされてない?
ああ、何もされてないよ。ありがとう。
なら良かった!
村の人は、みんな乱暴だからね…たまたま不幸が重なったってだけで、君は呪われてなんかいないのに…
アインスがそう思ってくれてるだけで十分だ。いつもありがとうな。
そんな…お礼を言われる様なことは、何もしてないよ。僕ら、友達だろう?
……ああ、そうだな
で…今日はどうしたんだ?こんな早い時間に来るなんて、珍しいじゃん。
ああ…実は、今日から『勇者の剣』が見られるようになったんだ。だから、一緒に見に行こうと思って…
お願いはしてみたけれど、やっぱり、君が抜刀式に参列するのは難しそうだから…
…そっか。
でも、頼んでくれたんだな…俺なんかのために…ありがとう。
ダメだったけどね。
君に一番見てもらいたかったのに…あんまりだよ
……見に行くんだろう?案内してくれよ
…そうだね。行こう!
ーーノクスゼロ・キング教会
これは、アインス様!剣の下見ですかな?
ああ。これから、長い旅の相棒になるんだから、早めに見ておこうと思ってね
左様でございますか…
……それも一緒に、ですか?
………
もちろん。ツヴァイも一緒に、ね。
……変な動きをしたら、つまみ出すからな
っ…!
しないよ。失礼だなぁ…
行こう、ツヴァイ
……うん
…なぜ、アインス様はあそこまで…
これが…勇者の剣…?
あはは、魔王の剣って言われた方が説得力有るね!!
本当だな…ふふっ…!
…来週…これを抜いたら、僕は…
……不安?
そりゃあ、ね…魔法も護身術も、一通り習って身につけてきたけれど…仲間と上手くやれるかとか、お金のやりくりとか…心配事は山積みだよ。
そう…だよな…
でも…ツヴァイのためにも、僕頑張るから!
絶対に、魔王を倒して帰ってくるからね!
……うん。頑張れよ。待ってる
アインスがいなくなる…か。
それにしても、おっきい剣だねぇ…僕、ちゃんと振れるかな?
……俺、アインスが帰ってくるまで、生きていられるかな…
ねえ、ツヴァイ!
な、なに…?
剣、握ってみる?
へ…?いいの?
ああ!抜けないのはわかってるし…僕が触らなきゃ、問題ないと思う!
本当?じゃあ…ちょっと持ってみるか
…もしこれで、俺が剣を抜くことができたりしたら…
アインスは、勇者にならなくて済むのかな…?
そうすれば、俺はずっと…
アインスに守ってもらえるかもしれない
…なんて…まあ、無理な話だけーー
…………へ…?
………は…?
いま…俺…なんで…?
つ、剣が…抜けた…?
あ、アインス…!
へ…?う、うん…!?
ど、どうしよう…!
どうしよう…!
ーーハコニハ・アンネシアへの道
……
それから、あれよあれよという間に話が進んじゃって…こんな…
村…もう、見えない…
アインス…俺は…どうすれば…!
ツヴァイ…
……どうしたの、みんな揃って…僕に何か用かな?
…お前、勇者じゃなかったんだな
そうみたいだね。勇者は僕じゃなかったみたいだ
そう…なら…
殺しても問題ないわね
…………
今までさんざん偉そうにしやがって…痛み付けられた奴らの恨み、思い知らせてやる!!
…………
死ね!!