真黒玄乃介

僕だよ。そっちはどうなってる?

ミッション終了。少々てこずりましたが
こちらは問題ありません。

真黒玄乃介

……そうか……。彼女には
悪いことをしてしまったな。
こっちは僕の予想通りだったよ。

――左様でござるか。拙者は
どのような処罰も受ける所存です。

真黒玄乃介

――僕は、君も彼女も失いたくはない。どちらも僕の計画に必要な人材だからねこうなった時のための緊急プランで行くそちらもそのつもりで動いてくれ。

……承知しました。ですが嫌疑は晴れても、その娘はまごうことなき怪物です。決して油断なされることのないように。

真黒玄乃介

はは、パープル君は心配性だな。
オーケー、肝に銘じておくよ。

ゆーま

お話は終わりですか?

真黒玄乃介

ああ、すまなかったね。仕事の話でね、ごたごたしていたようだが、もう大丈夫さあ、君にこの都市を案内するよ。

ここがシンブラックのホーム、
月面都市メトロポリスだよ。

真黒玄乃介

ここがこの都市の心臓部。
最新の核融合発電施設だね。

ゆーま

……ふわあ~。

真黒玄乃介

たぶん、この辺にいるはず。
……ああ、いたいた。おーい!

ユイガ博士

――。

平賀源内

――。

真黒玄乃介

聞こえてないみたいだね。結賀博士とは君をうまく誘えたら、ここに連れてくる約束をしていたんだが……。もうひとりはここの責任者だね。平賀君と言って、君とも長く付き合うことになるから、 顔合わせしておきたくてね。

ゆーま

電力供給の件ですか?

真黒玄乃介

そう。エネルギー転移装置を使って、 君と装置をリンクさせて縮退炉から直接エネルギーを引き出す。君をコードに 繋いだりはしないから、安心してほしい

ゆーま

ボク……というかイナハは
学校があるんですが……。

真黒玄乃介

――ああ、そうだったね。もちろん時間のある日を見計らって、都合のいい日に来てくれればいいから。何せ時間は無限にある訳だし、今のは将来的な話だからね。もちろん、報酬は十分支払うよ。

ゆーま

はい、すみません。

ユイガ博士

なんじゃ、因幡君じゃないか、来とったんか、いやこらびっくりじゃわい!!

平賀源内

この子が噂の縮退炉ガールですか、
しゃちょー。随分マブいですね、
……結婚してください。

ゆーま

えっ……。

ユイガ博士

こらこら、どさくさ紛れに
何を言っとるか、この若造が!

真黒玄乃介

平賀君、それは僕に言ったのかな、
それとも彼女に言ったのかな?
後者なら喜ばしいことだが……。

ゆーま

え……??

平賀源内

さあ、ちょっと言ってみただけです。君、俺は女と子供には興味ないから、
安心していいよ。多分君とはこれから
長い付き合いになるだろうからね。

ユイガ博士

ふぁっ!? ずいぶんベタベタ触ると
思ったら、そういうことかいの!?

平賀源内

へへ、どうでしょうね……。

真黒玄乃介

……ちょっと場所を変えようか、
ここは騒音がうるさいからね。

ユイガ博士

なるほどのう……。お前さんがそれで いいというなら、ワシは何も言うまい。

ボクはユイガ博士に、ここに来たいきさつを説明していた。

ゆーま

はい、博士。いろいろありがとう。

ユイガ博士

いや、ワシも踏ん切りがついたわい。 過去にとらわれずに、これからは
先を見て行動しようと思う。

平賀源内

……なにもないですが、
よかったらどうぞ。

真黒玄乃介

ああ、ありかとう。

平賀源内

いえいえ。そろそろお昼ですし、出前でも取りますか? しゃちょーのおごりで。

真黒玄乃介

ああ、いいよ。今日は大事なお客様が いるし、接待費で落としておこう。

平賀源内

出前が来るまで、待ってくださいね。 テレビでもつけましょうか。

しばらくはのどかなお昼のバラエティ番組が流れていたのだが、突如それは途中で中断された。

テレビ

――番組の途中ですが、臨時ニュースをお伝えします。本日朝から昼前にかけて、真白大学敷地内にて大規模な事故があった模様です。詳しい状況はいまだ 不明ですが、目撃者の証言によりますとまるで敷地の一部が大規模に抉り取られている様子から、実験事故なのではないかと見られており、死傷者の数はかなりの数に及ぶと危惧されています――。

ゆーま

……え……?

ユイガ博士

……!!

平賀源内

……!

真黒玄乃介

……。

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