ナカシマルミ

もう限界よ!もう歩けない……

ルミの目の前に黒いセダンが止まった。
運転席のサイドガラスが静かに降りると男が顏をのぞかせる。

オオクボ

みっけ

ナカシマルミ

あー、オオクボ!

オオクボ

やっと見つけたよ、奥さん

ナカシマルミ

さっきはごめんね

オオクボ

やってくれたな、まだ痺れが取れない。

ナカシマルミ

悪かったわ。でも仕方なかったのよ。あなたがあんな写真見せるから。許して、お願い。

オオクボ

いーや、許さない。絶対に。

ナカシマルミ

どうしようっていうのよ!

オオクボは車から降りて、ルミの腕を強くつかんだ。

ナカシマルミ

痛い!何をするのよ。

オオクボ

おとなしくクルマに乗れ!

ナカシマルミ

私をどこに連れて行こうっていうの?

オオクボ

いいからとっとと乗るんだ

ナカシマルミ

嫌よ、冗談じゃないわ!

ユウヤ

待てよ、嫌がってるじゃねえか

ナカシマルミ

ユウヤ

オオクボ

誰だてめえは!?

ユウヤ

お前こそ何者だ? ルミをどこに連れ去ろうとしてる?

オオクボ

お前には関係ない、怪我したくなかったら今すぐここから消えるんだな

ユウヤ

わからないおっさんだな

ナイフを構えるユウヤ

オオクボ

てめえ

ユウヤ

死にたくねえなら、女おいて消えな

突然現れた黒服隊のパトロールカーが停止した。

オオクボ

なんだ!

ユウヤ

うっ!

制服の男がドアを開け、車から降りるとオオクボとユウヤに向けて拳銃を構えた。

数発の銃弾が空気を切り裂く音が響く、同時に二人の男は路上に倒れこんだ。

遅くなりました、お怪我はありませんか?

ナカシマルミ

大丈夫、なんともないわ

ではご自宅までお送りしますので車にお乗りください

ナカシマルミ

ありがとう、助かったわ

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