轟鬼

……おぅ

爺よ、ご機嫌いかがか?

轟鬼

……いっそ清々しいわ。酒ごと燃えおってからに

轟鬼

お主らはどうなんじゃ、餓鬼共

飢えて死にそうだ。炎のせいで喉も乾く。熱い血潮が飲みたいものだ

轟鬼

腐っても鬼よなぁ。こんな状況下でもひたすら愚直に欲望を優先するか

鬼とは欲望のままに暴を振るう存在……そうではなかったかな?

轟鬼

……いいじゃろう。では、主らの望みは何じゃ?

それこそ、愚問よ!!

轟鬼

やれやれ。しょうもない糞餓鬼共じゃ

本田 雅信

…………

竹内 秀政

待たれよ、本田殿。何処に行かれるおつもりか

本田 雅信

私が参陣したのは生きる金を得るため、そして亡き弾正殿の恩を返すためです

本田 雅信

ですが、これはもはや戦とは呼びません。久道殿の嗜好による虐殺でしかない。残念ながら秀政殿、私の武士としての心は落ちぶれてはおりませぬ

竹内 秀政

…………

本田 雅信

今の其方には止める気力もないはず……失敬

竹内 秀政

…………

結城 忠政

秀政殿……次弾装填しました

竹内 秀政

承知いたした。では撃ち方――――

結城 忠政

なんだ? 山から進軍してきたのか?

竹内 秀政

……来られたか

鬼ぃぃぃやああああああああああ!!!

結城 忠政

くああああ……っ!!

竹内 秀政

忠政殿!!

轟鬼

おぅおぅ、随分と涼しいのぅ

竹内 秀政

ご老鬼、なんのつもりかな? 仲間をこんなに連れて、特攻でもしに来られたか?

轟鬼

さぁて、最後の晩餐にありつこうと思ってな。なにせ久しく地獄に帰っておらぬ故、腹ごしらえしておかなくては。空腹で死ぬのはご免被るのでな

轟鬼

よくも儂等をここまで追い詰めてくれおった。褒美として、最期に鬼の気概を見せつけてやろうわ

土岐 吉次

秀政殿、大筒、発射します

竹内 秀政

よかろう。終いにしてやろう

させるか! 大筒を狙え!!

今だ!! やれ!!

土岐 吉次

た、弾が戻って来ま――――

竹内 秀政

こんな……ことが…………

土岐 吉次

秀政殿、大筒、大破しました。多くの鬼と兵が爆発に巻き込まれてしまい………

竹内 秀政

久道様はっ? ご無事か?

土岐 吉次

先程蘭殿を連れて何処かへと……

轟鬼

やれやれ、派手に吹き飛ばしてくれおって。避暑地が台無しじゃわい

轟鬼

増援を頼んだ覚えはないぞ、天狗共?

土岐 吉次

なん――――

よし、一丁あがり!!

人間共を許すな!! 一人残らず討ち取るのだ!!

轟鬼

さて、いい塩梅に地獄絵図じゃわ。そうでなくてはな

竹内 秀政

そこをどいてもらえぬか。儂は本陣を任されている身故、行かねばならぬ

轟鬼

残念じゃがのぅ人間、儂が素直に道を譲ると思うか?

竹内 秀政

ご老鬼こそ、儂が簡単に退くと思うのか?

轟鬼

まったく……殺すには惜しい男よ

轟鬼

名を聞いておこうか、人間

竹内 秀政

松尾家筆頭家臣、竹内秀政

轟鬼

轟、お山の大将よ

竹内 秀政
轟鬼

うおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!

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