第2幕
監視の弊害

ベルリーナ

ブリュレさん

サヴァラン

うわっ!?

サヴァラン

な…なんだ、リーナか…驚かさないでよ

ベルリーナ

……次の時間、体育ですよ。着替えてきた方がいいのでは?

サヴァラン

あっ…忘れてた

サヴァラン

ありがとう、リーナ

ベルリーナ

あの

サヴァラン

うん?

ベルリーナ

……

ベルリーナ

放課後、屋上へ

サヴァラン

!!

サヴァラン

わかった!!

予告状を書いていたら思わず時間を忘れてしまったよ…話しかけてきたのがベルリーナで良かった…それにしても、ベルリーナから誘ってくるなんて…何かあったのかな?
書きかけの予告状を制服の胸ポケットにしまい、俺は慎重に席を立つ……なるべく窓から遠い位置に陣取ったが、いつどこで市警官に見張られているかわからない…ああもう、こんなの気にしながら生活するなんて性にあわない!!

男子生徒A

サヴァランパス!!

サヴァラン

えっ…うわ!?

男子生徒A

うお!?おいおい大丈夫かよ!?

サヴァラン

だ、大丈夫…はは…

お陰で授業にも集中出来ないし…!何よりベルリーナと一緒に帰れないのがすごく辛い!!今まで空き時間でやってたことをすべて学校でやっているから、話せる時間も極端に減っちゃったし…

ベルリーナ

放課後、屋上へ

サヴァラン

……ふふっ…

彼女にどんな意図があるのかはわからない。でも…話しかけてくれたこと、彼女から誘ってくれたことがこんなにも嬉しい…ああ、楽しみだなぁ…どんな内容だって、ベルリーナと話せるならきっと素晴らしい時間になるに違いなーー

男子生徒A

サヴァラン危ねぇ!!

サヴァラン

へぶっ!?

ああ…もう最悪だ!!

ベルリーナ

散々だったようですね、先ほどの体育

放課後、俺はしっかり身なりを整えて、ついさっき風呂から出たかのようなコンディションで屋上に来ていた。俺がついた時には既にベルリーナがいて……風になびく黒髪が、とても美しかった。

サヴァラン

み、見てたんだ…

ベルリーナ

隣のコートでやってれば、嫌でも目に入りますからね…あのサヴァランが、今日は何だか調子が悪いって

サヴァラン

あはは…恥ずかしいところを見せちゃったね

ベルリーナ

まあ…そんなことはどうでもいいのです

サヴァラン

そんなこと…

ベルリーナ

最近、静かですよね

サヴァラン

静か?

ベルリーナ

……あまり、話しかけてきませんよね

サヴァラン

え…

……おや、これはまさか…?

ベルリーナ

休み時間中も熱心にノートとにらめっこしてますし、先ほども何かを書いていたようで…

サヴァラン

ベルリーナ

ベルリーナ

はい?

サヴァラン

もしかして……

サヴァラン

寂しかっ

ベルリーナ

帰りますね

サヴァラン

待って!!漸くやって来た俺の癒しの時間!!!

ベルリーナ

はぁ………漸く、とは

サヴァラン

え…?あ、ああ…その……

……ベルリーナは頭がいいから、多分『何が起きたんだな』くらいは察してるんだろう…でも、正直こんな恥ずかしいこと言えない。まさか、あんなに自信満々で堂々と犯行を重ねていたのに、まさかこんな所で正体がバレたなんてーー

ベルリーナ

……最近、市警の人間が学校の周りを張っていますね

サヴァラン

市警…?さあ、何かあったんだろうね

ベルリーナ

最近、あなたは必要以上にこそこそしてますよね。本当は、こうして屋上で話すということも、したくないのでは?

サヴァラン

まさか!そんな訳ないだろう!?

サヴァラン

君と話せるなら俺は……

ベルリーナ

落ち着きがないんですよ。あなたの目が

サヴァラン

目……?

ベルリーナ

いつもなら、自信に満ちた目であなたは私に自慢話をしてきます…まるで、武勇伝のように

ベルリーナ

ですが最近は、どこか自信がなさげ…心ここに在らずといった状態じゃないですか。

サヴァラン

そ、そう…?

そんなに挙動不審だったのか…?全然自覚なかった…。

ベルリーナ

ええ…何かあったのですか?いつもなら、なんでも話してくるあなたが…らしくもないです

サヴァラン

…………

サヴァラン

ダメだなぁ…君には隠し事が出来ないようだ

多分…つっけんどんな言い方だけど、心配してくれているんだろうな…やっぱり、君はとっても優しい子だ。その心は、まだこちらには向いてくれていないけれど……。
正体がバレてしまった経緯を話すと、ベルリーナは驚いたような表情で、戸惑いがちに俺を見つめた。

ベルリーナ

それ…大丈夫なんですか…?

サヴァラン

大丈夫じゃないけど…大丈夫にする

ベルリーナ

でも、監視の目が常についているのでしょう?どうやって怪盗なんて…

サヴァラン

考えがあるんだ。市警の目の前から『サヴァラン』を消さずに、『怪盗キャラメリゼ』を市警の前に出す…そうすれば…

ベルリーナ

そんなこと、あなた1人でどうしようと言うのです?

サヴァラン

いや?今は2人だよ

ベルリーナ

え…?2人…?

……ああ、そっか。ベルリーナにはまだ、俺が依頼を受け始めたことを言ってなかった。説明しなきゃな…でも…

サヴァラン

……協力者を得ることが出来てね。まあ、それに関してはまた今度説明するよ

ベルリーナ

今してはくれないのですか?

サヴァラン

ああ…時間切れみたいだ

不服そうにするベルリーナに、校門の方を目線で示す…そこには、市警局から派遣された私服の男が2人、屋上に居る俺のことをじっと睨みつけていた。『早く帰れ』と挑発でもしているのだろう。

ベルリーナ

あれは…じゃあ、以前の視線も…?

サヴァラン

多分…それにしては敵意が薄い気がしたけれど……まあ、今はいいや

サヴァラン

それじゃ、またーー

俺は屋上の鉄扉に手をかけ、そのまま戸を開こうとした…が、その前に。

サヴァラン

……ベルリーナ、ちょっとごめんね

ベルリーナ

へ…?

俺はベルリーナを優しく抱きしめた。単にここで話して帰るだけじゃ、仲間と勘違いされてしまう可能性もある…それで、彼女に迷惑がかかるのはなんとしても避けたい…せめてここは、恋人の振りでもしておけば…!

ベルリーナ

!?

サヴァラン

Salut、ベルリーナ。また明日

何故か固まってしまったベルリーナを屋上に残し、俺はエントランスへ向かった。

ベルリーナ

………さ……

ベルリーナ

サヴァランさんの……ばか……!!

第2幕 3ホール目 監視の弊害

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