記者

はあぁぁ…今日もスクープなしかぁ…

記者

怪盗キャラメリゼの犯行も見逃しちゃうし…ホントに運がないなぁ…これじゃ凄腕ジャーナリストなんて、夢のまた夢だよ…

記者

あーあー…今目の前に怪盗キャラメリゼが現れて、カメラに収まってくれたりしないかなぁ…

記者

きゃっ!?

サヴァラン

わっ!?…ああ…人がいたんだ…

サヴァラン

ごめんね、レディ。怪我はないかい?

記者

は…はい…どうも…

サヴァラン

そっか…なら良かった。それじゃ、私はこれで

記者

………か、かっこよかった…今の人……ん?

記者

あーっ!!か、カメラが!!

記者

………ほ…良かった、壊れてはないみたい…

記者

あれ…?こんな写真、撮ったっけ……さっき落とした時に撮っちゃったのかな……消しとかな……きゃ…?

記者

これって…!!

第2幕
謎の視線

サヴァラン

むー……

サヴァラン

んぅー……

ベルリーナ

…何やってるんですか

サヴァラン

んー…今朝から何かにつけられてる気がするんだよね…ちょっと気持ち悪くて

ベルリーナ

あなたでもそう思うことがあるのですね

サヴァラン

それどういう意味?

ベルリーナ

言葉のままの意味ですが

サヴァラン

ちょっとわかんないなー

学校からの帰り道。朝から感じている視線を何とか出来ないものかと、俺は思考を巡らせていた。このままじゃベルリーナを家に送り届けることも儘ならないや…

ベルリーナ

ブリュレさん、今日はここで

サヴァラン

え!?

ベルリーナ

朝からということは、その視線はあなたを追っているのでしょう?巻き込まれてはひとたまりもありませんから

サヴァラン

ま、まあその可能性は無きにしもあらずだけど…

ベルリーナ

道中、背中には気をつけてくださいね。では

サヴァラン

待って待って!!待つんだベルリーー

ベルリーナ

サヴァランさん!!

サヴァラン

っ……り、リーナ…

あ、危ない…思わずベルリーナの本名を叫ぶ所だった…ちょっと落ち着かなきゃ…!

サヴァラン

確かに、この視線は俺を付けているものだ…でも、その間君はほとんど俺と一緒にいた…もし相手に悪意があったら、ここで君が一人になるのは危険だ

ベルリーナ

…………それもそうですね…

サヴァラン

そう。だから…

ベルリーナ

きゃっ!?

俺はベルリーナをふわりと抱き抱えーー所謂お姫様抱っこという形でーー視線から逃げるように走り出した。

!!

視線の主も俺の考えに気づいたのか、慌てて走り出す気配がした。

ベルリーナ

ブリュレさん!!何するんですか、降ろしなさい!!!

サヴァラン

このあたりの抜け道ならいくらでも知ってる!ただ、レディの君に歩かせるのはちょっと危険だからね…我慢して!!

ベルリーナ

っ…!!

細い路地裏やトタン屋根の上などを経由し、10分ほどで、俺たちは何とか視線の主を振り切った。

完全に気配が消えたところで、俺はスノーボール邸に進路を変え、無事にベルリーナを家に送り届けることに成功した……が

サヴァラン

いっ…!?

ベルリーナ

最低です!!

何故か激怒されてしまい、ベルリーナは顔を真っ赤にして邸宅へ入っていった。

サヴァラン

………

サヴァラン

……スリルが強すぎたかなぁ…

熱が残る頬に軽く手を当て、俺は念のため抜け道を経由して自宅へと戻った……

サヴァラン

今日は疲れたなぁ…ただいーー

サヴァラン!!あなた何したの!?

サヴァラン

へ…?

思わず間の抜けた声で返し、疲れで伏し目がちだった目線をあげる…と

シュトーレン

君が、サヴァラン=ブリュレ君だな。俺は刑事のブレッド=シュトーレンという者だ

サヴァラン

へ…え…?けい、じ…え…?

シュトーレン

実は君にある容疑がかかっていてな…話を聞かせてほしいのだが、いいか?

うそ…だろ…?

第2幕 1ホール目 謎の視線

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