それから、あの人は事あるごとに私に付きまとってきた。私も、この動悸の正体を知りたかったから不満はなかったし、退屈はしなかったから文句はないけれど…
あの人はデートだと言って、私をいろんなところに連れて行った。
水族館に遊園地、小洒落たカフェや、彼だから入っていけるような危険な場所…そのどれもが、私にはとても新鮮で、認めたくないが楽しい場所だった。彼の家に招かれて、一緒に夕食を食べたこともあった…温かい一家での食事が、こんなにも楽しいものなのだと、私はその時初めて知った。
それでも一向に動悸の正体がわからないまま、高校での残り2年間はあっという間に過ぎていった。あの人の執着は凄まじくて、実力だけで奨学金まで勝ち取り、私と同じ大学に進学を決めた。その事に少しだけ喜んでいる私がいて…でも、それももう終わりにしなきゃならない。この動悸の正体を追うのも…