???

冷たい机は嫌い、自分がここにいないみたいだから。

少年

・・・

そんないつか誰かから聞いた言葉を一人寂しく教室の端っこで思い出しながら、
頬杖をついてぼーっと小一時間悩んでいた。

将来について、だ。

壮大な夢なんて俺には無い。
やりたい事を好きに探せと言われても、無理に探して、見つけて「しまった」夢が本当の、心の底からの望みである訳がないし、そんな事があってはならないのだ。と、思う。

そんな感じに考えている、考え過ぎている俺なのだから、勿論、言わずもがな、いや、前述した通り(いや、誰に話してる訳でもないんだけどね)、やりたい事なんて見つからない。
見つかってはいけないし、見つかる訳もないのだ。

少年

おー…、まあ、飽きもせずよくやるなぁ…。

生徒

ナイスパース!

窓からグラウンドを見下ろすと、部活に精を出す学友達がいる。
自分と比較してしまうと、どこか自身を情けなく感じてしまうのは、あまりに自分とかけ離れた場所に彼らがいるということが、どこかで分かっているからだろう。

ふと机を見ると白紙のままで提出した進路希望調査書が、
確かに先生に渡した筈のこいつが、
申し訳なさそうに机に居座っていた。

少年

将来将来って…簡単に言ってくれるよな…。

こんな事で居残りをする羽目になるのなら、
嘘でもなんでも、いっそ「お婿さん♡」とかでもいいから、何か書いときゃよかったと思う。
いや、書かないけど。

だがしかし、
嘘を書けばいい、と言ってしまうのは簡単だが、意外と難しいものなのだ。
下手な嘘をついてしまったりすると、その方向で大学を決めたんだなと思われかねない。
それは先生にも迷惑なことだし、そうなるのは俺の本意ではない。

少年

大学…進学か…。

少年

面倒だな…。

ボクラノプロローグ(プロローグ)

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