ヒロインとイレギュラー

昼休み

柴野一樹

ま、アイツもそりゃ気になるだろうなぁ

石塚賢治

つうか、なんで浦橋が昨日のコト
知ってんだろうな

檜山千秋

石田、彼と接点のあるキャラクターって
誰なの?

石田弘大

ふぅん……
いないよ

石塚賢治

うわぁ、可哀想

石田弘大

だってモブキャラだもん
登場人物と仲良かったりしたら
それってもう、モブキャラじゃないじゃん

檜山千秋

じゃぁ、どうやって彼は
昨日のコトを知り得たんだろうね

石塚賢治

確かになぁ

石田弘大

美桜ちゃんをずっと監視していたとか?
一日中!

石塚賢治

怖えぇよ!!ストーカーかよ!
モブキャラにしては
行動力ありすぎだろうが!

柴野一樹

そりゃぁねぇだろ

檜山千秋

どうして?

柴野一樹

神崎が泣いた時点で
乗り込んでくるんじゃないか?
アイツなら

石塚賢治

乗り込んでこないにしろ
昨日のうちにケリをつけようと
しそうだな……

桐部愛梨

ジロー

桐部愛梨

アイツら仲良く揃って
何を話しているのかな

桐部愛梨

あぁ、ここじゃ会話が聞こえない!

石塚賢治

まぁ、浦橋のことは置いといて
本題に入ろうか

石塚賢治

柴野……
お前、どうするつもりなんだ?

柴野一樹

しばらく、居残りは辞めることにする

石田弘大

えぇ!!いいの!?それで!?

柴野一樹

俺だっていいとは思ってねぇよ……
だけど……わかんねぇんだよ……

柴野一樹

正直……
ここの連中と関わり過ぎたって後悔もしてる

石塚賢治

俺の時と状況が似ているな……

柴野一樹

あぁ……
今回は俺らから吹っ掛けたワケじゃねぇが……

柴野一樹

どうもこの世界はゴタゴタがお好きらしい

石塚賢治

なんか悪いな……
元はと言えばデート作戦で俺が
しでかしたことが原因なのに

石塚賢治

お前に迷惑かけちまった

柴野一樹

いや、俺もあの時に
気付くべきだったんだ
結城レイに力を貸そうが貸すまいが
こういうコトは起こりうるんだってな

柴野一樹

アイツも……ヒロインなのに……

柴野一樹

ただ、勉強を教わるくらいなら
大丈夫だろうなんて思っちまった……

石田弘大

関係ないよ
そんなの

柴野一樹

お前……

石田弘大

葵ちゃんがヒロインだからとか
そんなコト関係ないっ

石田弘大

一樹は……葵ちゃんから目を背けようとしたから
こんなことになったんだよ!!

柴野一樹

……

石田弘大

彼女の好意を避けようとして
躓いたんだよ……一樹……

柴野一樹

俺は藤宮じゃねぇぞ……
そう簡単に惚れられるかよ

石田弘大

ほら!またそうやって!

柴野一樹

あ?

石田弘大

好きじゃなきゃ!
ずっと、一樹の勉強を見てやったり
なんかしないよ!!

柴野一樹

……

柴野一樹

友達、だからじゃダメなのか?

石田弘大

ただの友達を取り返しに来るかな

柴野一樹

はぁ……

柴野一樹

仮に好きだったとしてもだ
何をしてもいいってわけじゃねぇだろ

石田弘大

あんな酷いことを言って
突き放す必要もなかったはずだ

柴野一樹

……

柴野一樹

……そうだな

柴野一樹

俺のことは好きなのかどうかは
わからねぇけど……
気に入られてるようには感じてたさ

柴野一樹

つか、俺もそこまで疎くねぇし

石塚賢治

じゃぁ、あの子の行動の理由も理解できたろ?
ただの嫉妬だって

柴野一樹

俺はそういう面倒なコトが大嫌いなんだよ

柴野一樹

なんで、俺が嫉妬されなきゃならねぇんだ

柴野一樹

そういうわけで、イラついた
だから、あんな事言っちまった

柴野一樹

これでいいか?

石田弘大

うむっ!上出来だ!

石塚賢治

いいのかよ!!

石田弘大

こういうことはハッキリさせておいた
方がいいだろ?序盤のうちにね

柴野一樹

いや、俺はそれが嫌だったんだがな……

柴野一樹

で、俺からも一ついいか?

石田弘大

え?

石塚賢治

なんだよ
さっそく、仲直りの提案か?

柴野一樹

いや……

檜山千秋

……

柴野一樹

なんかよう……
あの時、違和感を感じたんだ

石塚賢治

違和感?

柴野一樹

いや、前にも何度か感じていたんだが……

柴野一樹

あぁやって、感情が昂ったときに
感じるんだよ

――――――俺はこんな人間だったか?って

つづく

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