twitter300字ss様 7月のお題「渡す」で
書かせて頂きました。
ジャンル:オリジナル
注意書き:なし
スペース除く300字
2017/07/01
ある日、
僕は萎(しぼ)んだ風船を見つけた。
風船には
小さな封筒が結び付けてあって、
つたない文字の手紙と
花の種が入っていた。
きっと
この国の子供が飛ばしたのだろう。
これも旅のいい思い出。
僕は
その手紙と種を持ち帰った。
帰ってから種を植えた。
手紙を翻訳すると
「世界が花でいっぱいになりますように」
と、書いてあった。
だから、
僕もお返しに
花の種を飛ばそうと思った。
その子に
直接渡すことはできないけれど、
その子の世界を彩る花のひとつが
僕の種から
咲いた花だなんて、
とても
素敵なことじゃないか。
数ヵ月後。
持ち帰った種は
赤い花を咲かせた。
そして
僕が飛ばした種も、
無事に花を咲かせたらしい。
その日
地球は
謎の宇宙植物に
覆い尽くされた。