僕と付き合ってください

叶恋

ごめんなさい……

いつもこの瞬間は心が痛む。
相手の方はいつも悲しそうな顔をする。
だから、告白なんてしないでほしいんだけど……

男の人はなぜだか私のように、なかなかOKを出さない人に夢中になるみたい。

私はそのまま屋上を後にした。
幸い、彼とはクラスが違うから、気まずくなることも少ないと思う。

唯歩

叶恋(かれん)~~
また告白されたの~?

唯歩(ゆいほ)は、椅子の背もたれを抱えるような体勢で、私の机に肘をついて顔を寄せながら聞いてくる。

叶恋

うん。
相変わらず噂をかぎつけるのが速いね。唯歩は。

唯歩

まーね。
いろいろ聞こえてきちゃうもんなのよ。

叶恋

へー

唯歩はにこにこと笑いながら足をバタバタさせる。

私は窓の外に視線を移した。
空が青い、雲が白い。いい天気

唯歩

ねー!
聞いてる?

叶恋

ん?
聞いてる聞いてる

唯歩

ぜーったい嘘だー!

ばれてた……

唯歩は相変わらず椅子の背もたれを抱え込むように座ったまま、ガタガタと椅子を鳴らす。

唯歩

でも、なんで叶恋は彼氏作らないの?
付き合ってみるだけ付き合っちゃえばいいのに

叶恋

私にはそんな気持ちないから……
相手にも失礼かなって

唯歩

真面目だなー叶恋ちゃんは

唯歩は呆れたように私の顔を見た

唯歩

あーあ私も恋したいなぁー

叶恋

あはは、唯歩ならすぐに相手見つかるんじゃないの?

唯歩

いないから困ってるのー

そういってまた足をばたつかせる

叶恋

私が彼氏になるよ?

唯歩

なにそれ。
叶恋ちゃんそんな冗談どこで覚えてきたの?

叶恋

内緒

唯歩

もー
でも、私は叶恋ちゃんの彼女より彼氏がいいなぁ

叶恋

そうする?

唯歩

じょーだんだってば!

叶恋

相変わらず唯歩は面白いね

唯歩

もーー!!!
モテるからってバカにしてるでしょー!

唯歩はほほを膨らませた。
彼女にとっては、さっきの会話は冗談らしい。



私は割と本気だったんだけどなぁ

そう思って外を眺める。

叶恋

この気持ち……届かないんだろうなぁ……

私の気持ちとは真逆に、空は相変わらず青々と晴れ渡っていた。

私の気持ち

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