××になる
――そんな夢を、叶えたはずなのに

無理やりの笑顔を張り付けて、

××に虐められないように、気を張って
××に指を差されないように、媚売って、

案の定勘違いされて、気をもたれ、
仕方ないから、乗っかってやって
調子に乗られて――

――なんだ、これ。

俺の夢って、俺の未来って
こんなだったか。

――っと、考えるな

!?!?

な、なんだよあれ…!?

恐怖で、手を握る

いっ……

手を、手の中に入っている金属で切った

……は?

きんぞく?

金属の感触、
ぬめりがあって、

生暖かっ――

なんで、こんなナイフを、
俺は手に持っているんだ…?

恐怖で、その金属は
手から滑り落ちる

確かに自分の足元へ落とした
が、――

怪物の頭上に、落ちた

それからは、ただ恐怖で

俺は屋上から、飛び出して
螺旋階段を駆け下りる

こんな階段、
此処にはあるはずもないのに

まだ、追っかけてくる、

怖くて、眼を閉じながら走る
――すると、瞼の裏が

あれが、
何者かは分からない

だが、まるで自分の見る夢のように

手に取るように
何か俺の敵が追ってきていることだけは
確かな真実として分かった

まるで、俺みたいな目で
追いかけてくる

お前は――何なんだ

それに応えるように、なのか

声は頭の中を駆け巡る

生まれた意味は分かるのか

お前は必要なのか

お前は何かになれたのか

生きれないのか

死ねないのか

お前の夢はかなったのか

お前はしあわせか

しあわせなら、
お前は能天気だ

しあわせじゃないなら、
お前は出来損ないだ

どんな答えであっても、
全ての答えが追い詰めてくる

にげるな、向き合え

夢でやりたいことは、
出来ているのか

みんな、は本当に裏切らないのか

お前は人に好かれているのか

お前は人に利用されているのか

お前は、

お前は、

お前は、

お前は、

お前は、

お前は、

お前は、

お前は、

お前は、

聞きたくない、知らない知らない知らない
知るわけないことばっかり言いやがって

俺が知りたい、
俺が気にしてること、
俺が探しているもの
全部全部ぜんぶ言いやがって
否定しやがって、だが、それは全部事実だ。

聞きたくない、聞きたくない、知りたくない

こんなどうでも
良い事で悩んでるのですか。

お前は、

正直、考えても
仕方なくありません?

こんなの。

戦えば戦う程、
喰われるだけでしょうに

――対処法を知らず
喰われるだけの餌さん、

ごめんあそばせ、ですね

何が言いたい

生まれた意味がある方は、
生まれた意味に縛られている

居場所がある人は、
そこでしか生きられない

そして、夢。

なんて漠然とした単語でしょうか

いや、将来の夢とかあるだろ

仕事を、夢?

そこ、驚くところか?

なりたいものなんて、
外見を追うのはやめなさいな

なりたい心こそ、夢になるべきです

なんだよ、それ…。
なら、俺が、頑張ってきたことは……

――――

――なら、俺はどうすればいい

それは貴方にしか
分かりません。

私に求められても困ります

――そういうものなのか

貴方の心を、
何故私に尋ねるのですか

ただ、「不安」と戦うなど
馬鹿がすることです

「不安」?

ええ、先程の青い顔です

定められた未来のない人に、
無理やり未来を押し付ける存在

なんだそれ

平たく言えば、殺せません。

それ故に、
相手にナイフを渡して刺しても刺しても
殺せない恐怖を植え付けて

――その恐怖を種に、
未来を植え付ける寄生虫です

言葉では理解できるが、
想像はしたくない怪物だな

そして、
その植え付けられそうだった
「不安」の作った未来は

私の今晩のおかずになります

なんか良く分からないから
いいや

でも、アイツらは
また出てくるんだろ?

元々、人間と
共存している存在ですから

――俺たちは、
それと戦うしかないんだな

無視するか、戦うかは
貴方次第ですがね

無視できるわけないだろ

不安は構われたがりなので、
あまり戦う選択をしない方が得策ですが――

……今の俺には、
それが分からないんだ

まあ、私の心ではありませんから
貴方がどうするか決めて下さいな

それなら、俺は―――

未来捕食屋のメアリ様②

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