好奇心とは危険。
「向こう岸へ渡りたい。」と彼女はつぶやいた。
ある名の無い小さい島に若い女の子が一人、外界へ
と続く、向こう岸を見つめている。
あの向こう岸は、どんな風であるかを思い浮かべながら。彼女の名前はマイ。マイの住む島とは、誰も知らない、名も無い小島。彼女には、母親も、父親もいない。白髪の老人に育てられた、女の子だから。
「マイ」とその老人に名付けられた、女の子は、明るく、穏やかな性格に育っていた。誰も知らない、穏やかな島でマイは何一つとして不自由のない、幸せな日々を暮らしていた。そんな幸せな日々の中で、ただ、好奇心だけが、どんどんマイの中で、大きく育っていった。
「島の外に出たい。」とマイは思った。