上手くいかない
上手くいかない
何の用だ?お前ら
……
あら~
何コレ……
決まってるじゃない
アナタ達を取り返しにきたのよ
そこの連中から
えっ
あぁ?
何意味わかんねぇこと言ってんだ?
おいおい神崎?
マジでどうしたんだ?お前
私は……
許せないのよ!ソイツらが!
はぁ?
彼女は一体何に怒っているんだ?
さぁ
知りたくもねぇ
……
返しなさいよ
柴野君と石塚君を
えーっと……
君たちもしかして、
外せない用事でもあったのか?
んなことねぇっすよ
じゃぁ、彼女は
……さぁ
なぁ、神崎
お前
返せって言ってるの!
アナタ達が返してくれたら
それで、済む話!わかった!?
わかんねぇ!
全然、わかんねぇよ!!
なっ
お前の考えてることも
コイツの考えてることもよ……
……
わかんねぇよ……
何なんだよ……お前ら
わからない?
ふざけんじゃないわよ!
神崎……
アンタのしてることは!!
神崎
何よ!
なんで……泣いてんだ?
え……
ち、ちが……
これは!!!!
美桜ちゃん……
これは……
違う!!!泣いてなんか!
……えっと
くっ!!
お、おい!どこ行くんだよ!
行っちまった……
な、なんかごめんね……
きっと私たちのせいだよね
いや
悪いのはアイツですよ
えっと……
さっさと失せろよ
え……
俺は……お前に……朝倉に
勉強をみてもらって
本当に感謝してんだ……
……
だがよ……
これだけは言わせてもらう
俺はお前のペットじゃねぇ
……
わかんないけど……
ちょっと、言い過ぎなんじゃ……
この子……
泣きそうだよ?
……ごめん
……なさい
いいのか?それで
さぁ……
ね、ねぇ柴野君?
ちゃんとあの子と話した方が
いいんじゃない?
何があったのかはわからないけど
話しましたよ……
話してこれっすよ……
まぁ、そうだけど
そうだけどさぁ……
ちょっと、美桜ちゃん見てくるよ
帰ったんじゃ……ないの?
ほら、こういうシチュエーションって
お決まりのスポットがあるじゃん
どこまでも、アニメだな
お前
そうだねぇ
……
何してんだろ……私
一人で騒いで
一人で泣いて……
傷ついて……
はぁ……
時々思う。
こんな自分が心底嫌いだと
”友達のため”そんなのはウソ
自分を守る言い訳なんだ
本当は――――
きっと、心のどこかで願っているのかもしれない
皆が誰かと結ばれて”幸せ”になってくれたら
自分は隼人と………
――違う
みんな隼人が好きで……
だから、みんなが幸せになることなんてない
何れ、誰かが悲しむことになる
たった一人を除いて
私はその一人になりたい
そう、願っているんだ
私だけは幸せになりたい
あの人と結ばれたいと――――――
どうして?
もう、こんな気持ち思い出したくなかったのに
ずっと考えないようにしていたのに
――今になって
まるで”希望”が芽生えたかのように現れて……
また、私に夢を見せようとする
うぃ~っす
なっ!!
なによ
美桜ちゃんが心配でさぁ
探してたんだよっ!
ふ~ん
……
朝倉さん……
置いてきちゃった……
あの子、どうなったの?
聞きたい?
い、いえ……
……
私のせいで……
上手くいかないのは
わかってたのに……
私のせいで……
……ねぇ
なに?
私、石塚君には
期待してたのかもしれない
いえ、期待してたの
カップルになること?
……そう
だから、邪魔されたくなかったの
石塚君はただでさえ奥手なのに
生徒会なんて逃げる口実を
作られたら……
彼はきっと、そっちに行って
もう、戻ってこなくなってしまう
だから、取り返しに来たんだね
そう……
あっはは
それはちょっと強引だったね~
いくら友達思いでもね!
友達思い……
まぁ、でも
一樹達ならわかってくれるよ
ちゃんと、謝って話し合えば
この際
はっきり言わせてもらうわ!
えっ
私は隼人が好き!好きなの!
だけど、春奈も隼人が好きで……
そんな春奈が
石塚君とくっ付いてくれれば
私にとっては都合がいいでしょ!?
だから、こんなにも必死なの!
私はそういう女なの!
どう?理解した?最低でしょ!?
え、いやぁ……
それだけじゃないでしょ?
何がよ……
朝倉さんと賢治に自分を重ねてたんだよ
はぁ!?
なに言ってるの!?
自分と同じような悲しい想いをして
欲しくなったんだよ
一歩引いたところから
ずっと眺めているだけの……
そんな、恋になってほしくなかった
違うかな?
違う!
……アナタに私の何がわかるの?
偉そうに……知ったような口利いて
じゃぁ、なんで
朝倉さんも連れて行ったの?
それは……
まぁ、美桜ちゃんの事は
大体知ってるんだよねぇ
アニメで見たからさ
だけど、俺が思ってたよりも
美桜ちゃんは優しかった
そして、自分のコトが嫌いだった
……
もういいわ……
帰る
そう
言っておくけど
今日の事は他言無用でね
うん、わかったよ
すぐにバレてしまうだろうけど
アイツ……
あぁ
そうか――――
アイツらが……居たから
みんな幸せになれるかもしれないって
また、思ってしまったんだ
つづく