……ふん。
また背負い込むと、二の舞だぞ

 魔王としての口調で、妹がそう注意する。

大丈夫だよ

//////

ぬ、なっ!?

 ゆっくりと私は、頬を赤らめる妹を、背後から抱きしめる。
 ――妹は注意するのに、自分はいいって、だめなお姉ちゃんだね。
 確かに、人の暖かさって、甘えてしまうね。

 私は、ゆっくり、かみしめるように言った。

姉と妹、勇者と魔王。
――四人なら、なんでも、いけるよ

 今もまた、新たな転生者が目覚めているかもしれない。
 自然にか、または私達の歌でか。
 ……歌を、やめるべきなのかも、しれないけれど。
 それでも、私は。私達は。

……うん。
今のわたし達らしく、やっていこう

そうしないと……
転生した意味も、わからない

今のみんなにも、過去のみんなにも、
申し訳ないよ

 そう、目覚めた人達に、伝えられ。
 さっきの人みたいに、笑ってくれて。
 想い悩む人達の、この世界でがんばる目印に、なれるのなら。

一緒に、いてくれる?

 ――この子とともに、やりぬこう。
 それが、この世界で共に生まれた、私達の役割なんだと信じて。

……うん♪

 魔王の強さと、妹の柔らかさ。
 その二つを兼ね備えた笑顔を見ながら、私は心を新たにする。
 私達の活動は、ここからまた、始まるんだって!

 ……目覚めによる驚きは、まだ続くだろうけれど。

 ――私達の願いと、目覚めた者達の平和と、この世界の幸せ。

 その想いを忘れず、スポットライトの下に立って。
 これからも、歌い続ける。

明日のステージも!

がんばっていこう♪

 みんなで幸せになる、最高の一瞬を生み出すために!

09・最高の一瞬を生み出すために

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