手の中で、
揺らめく記憶の灯


蠟燭の火よりも、
限りなく、
弱く、細くなったそれ



彼女は自ら、
火に息を吹きかける



――ぱたり、と

その火は消えた



倒れる様に、たおやかに、

火は抗いもせず、
ぱたり、と消える

気付けば、
彼女の周りを囲う火も
全て、溶ける様に消えていく

……あら、此処はお社?

…………

そちらの方、
お尋ねしても?
何故、燃えているのかしら

―――――

よく、思い出せないな

え?

そうだ。悪いが、

何も、思い出せなかった

あら、

それなら、一緒ね?

あら?

――いや、これは……

何か、悲しい事でも――

気のせいでした。
雨が降ったのね

そうだな

傘は、持っていまして?

勝手に始まって、勝手に終わった感覚…

でも、
和国が一難去ったなら、
楽にしてられるかな

犍陀多

雨、無駄に使っていいのかよ

今のは、
最高に良い使い方だと思わないかい?


憂叉もそう思うよね

憂叉

返事をするのが
面倒なので、

俺は寝ているということに
しておいては
いただけないでしょうか

あ、そうだね
分かった。

と言いつつ、
なんで起きてるの

寝てよ

憂叉

寝ているということに
なっていませんよね、それ

あ……

じゃあ、
寝ているということで

寝て

寝よう、快眠だよ

それで寝れるというのなら、
楽なので従いますけど、

憂叉

いつも通り、
突拍子もない方法ですね

面倒とか、楽とかで
従う抗うを決める
憂叉の為に
工夫した結果なのに

憂叉

次は、死なない毒薬程度の
楽なものを希望いたします

働きたくないが為、
一週間は目覚めないもので

それ、
僕が冷や冷やするよね

憂叉

一生眠り続けてしまったら、
仕事は全て主に預けます

ああ、
それが狙いかい?

憂叉

王とは面倒ですね。
殺せませんし

従者として、
生まれたかったです

檻田

なら、変わってよ

憂叉

表向きにも
変わったら変わったで、
大衆の眼が煩いと思いますが

犍陀多

――憂叉って、こんな奴だったか?

君が、奪った感情が
戻っただけだよ?

犍陀多

お前も面倒見が
良くなってる気がするしな

僕は、その辺りの感情盗られてたしね

犍陀多

俺は、
「一回救って、一回捨てる」
……って辺りの感情を盗ってるが?

その辺りが、それなんだよ

まあ、それは追々

よし、いくよ!

憂叉

……Zzz

犍陀多

寝たな

檻田

寝てくれなかったら
憂叉は絶対文句言うから
困るよね?

檻田

――で、
憂叉の――常世王の件で、
聞きたいことがあるんだ

それは、表裏一体

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