今日から、ここが君の家だよ

???

…………

神父様が孤児を

連れて帰って来た。

「ボクが友達にならないと!」

カリス

ボクの名前は、カリスって言うんだ!
君は?

???

なまえ……?

カリス

うん、名前は?

???

あー…………自分のなまえは今はないよ。呼ばれていたなまえはあるけれど……それは、言えない。でも、必要だというのなら……

カリス

????

???

そうね、ドブネズミとでも呼んで

カリス

え?

???

あら知らないの?
ぎめい、といえば、ドブネズミでしょ
本に書いてあった……わよ

カリス

そうなの?

???

それでドブネズミって、何?

カリス

えーと……こういうの

???

!!!

カリス

知らなかったんだね

???

そうなのね……ドブネズミ……自分は大人になったら、こうなるのね

カリス

ならないから!!

???

本当?

カリス

本当!

???

よかった

カリス

……

???

どうしたの?

カリス

な、名前……もしよければ、ボクがつけてあげる

???

え、良いの?

カリス

え~っと…………………リアン

???

リアン、それが自分の名前

カリス

そうだよ、リアン

リアン

うん、ありがとう

カリス

よし、今からボクたちは友達だ!

リアン

カリスに内緒にしていること……あるんだ。友達なのに、隠し事あるの良くないよね。
でも、言えない……

カリス

ボクもリアンに内緒にしていること、あるよ

リアン

カリスも、ヒミツがあるの?

カリス

でも、いつか教えてあげる

リアン

自分も、きっと教えられる

カリス

何か欲しいものとかある?

リアン

本がほしい。人間の女の子が主人公の本がよみたい!

カリス

………そういう本は詳しくないからシスターに用意してもらうね

リアン

ありがとう!

カリス

じゃ、遊ぼうか

リアン

うん

シスターがリアンに与えたのは
子供向けの恋愛小説だった。


リアンはそれらの本から
言葉や作法を学んでいた。

リアン

なるほど、自分は自分ではなく、私と言った方が良いのね

リアン

年上の人相手には上目遣いが効果覿面………どういうことかな、神父さま

そ、そういう話はシスターに聞いてくれ

その中には
子供向けではない本もあったらしい。

リアンは魔術師だった
(本人談)


使い魔のペペロと共に、

毎日魔法の修行をしていたけど……

リアン

ペペロ、魔法修行よ

ペペロ

よし

才能には恵まれていなかった

リアン

だ、大丈夫?

ペペロ

何のこれしき

リアン

こんなに傷だらけにして、ごめん

カリス

また魔法の修行?

リアン

うーん、上手くいかないのよー

カリス

魔法以外にしてみれば?

リアン

魔法じゃなきゃダメなの……
強くならなきゃ

カリス

リアン………

リアン

……強くならないと

カリス

強くならないと

カリス、無駄な動きが多い

カリス

………っ

もう一度だ

カリス

はい!

カリス

リアンを支えられるだけの力を、ボクは必ず手に入れてみせる

カリス

勇者の転生者だから強くなるんじゃない、あの子を守る為に強くなるんだ

強くなったな

カリス

ありがとうございます

さっそくだが、ギルドマスターから「ドクロ」に依頼が来ている。

ドクロ

了解です

あの子に心配かけるなよ。
カリスがいないと寂しそうな顔をするんだからさ。何だかんだで、お前に一番懐いているからな。

ドクロ

そんなことを言われたら、行けないじゃないですか。
あの子のこと、頼みましたよ神父様。

依頼の報酬は現物支給だそうだ

ドクロ

現物支給?

オリハルコン製の表紙で出来た聖書だそうだ

ドクロ

そのようなものが……

遙か彼方の時代には、戦う聖職者でもいたのだろうな

ドクロ

これか……

     

to be continued

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