神父様が孤児を
連れて帰って来た。
今日から、ここが君の家だよ
…………
神父様が孤児を
連れて帰って来た。
「ボクが友達にならないと!」
ボクの名前は、カリスって言うんだ!
君は?
なまえ……?
うん、名前は?
あー…………自分のなまえは今はないよ。呼ばれていたなまえはあるけれど……それは、言えない。でも、必要だというのなら……
????
そうね、ドブネズミとでも呼んで
え?
あら知らないの?
ぎめい、といえば、ドブネズミでしょ
本に書いてあった……わよ
そうなの?
それでドブネズミって、何?
えーと……こういうの
!!!
知らなかったんだね
そうなのね……ドブネズミ……自分は大人になったら、こうなるのね
ならないから!!
本当?
本当!
よかった
……
どうしたの?
な、名前……もしよければ、ボクがつけてあげる
え、良いの?
え~っと…………………リアン
リアン、それが自分の名前
そうだよ、リアン
うん、ありがとう
よし、今からボクたちは友達だ!
カリスに内緒にしていること……あるんだ。友達なのに、隠し事あるの良くないよね。
でも、言えない……
ボクもリアンに内緒にしていること、あるよ
カリスも、ヒミツがあるの?
でも、いつか教えてあげる
自分も、きっと教えられる
何か欲しいものとかある?
本がほしい。人間の女の子が主人公の本がよみたい!
………そういう本は詳しくないからシスターに用意してもらうね
ありがとう!
じゃ、遊ぼうか
うん
シスターがリアンに与えたのは
子供向けの恋愛小説だった。
リアンはそれらの本から
言葉や作法を学んでいた。
なるほど、自分は自分ではなく、私と言った方が良いのね
年上の人相手には上目遣いが効果覿面………どういうことかな、神父さま
そ、そういう話はシスターに聞いてくれ
その中には
子供向けではない本もあったらしい。
リアンは魔術師だった
(本人談)
使い魔のペペロと共に、
毎日魔法の修行をしていたけど……
ペペロ、魔法修行よ
よし
才能には恵まれていなかった
だ、大丈夫?
何のこれしき
こんなに傷だらけにして、ごめん
また魔法の修行?
うーん、上手くいかないのよー
魔法以外にしてみれば?
魔法じゃなきゃダメなの……
強くならなきゃ
リアン………
……強くならないと
強くならないと
カリス、無駄な動きが多い
………っ
もう一度だ
はい!
リアンを支えられるだけの力を、ボクは必ず手に入れてみせる
勇者の転生者だから強くなるんじゃない、あの子を守る為に強くなるんだ
強くなったな
ありがとうございます
さっそくだが、ギルドマスターから「ドクロ」に依頼が来ている。
了解です
あの子に心配かけるなよ。
カリスがいないと寂しそうな顔をするんだからさ。何だかんだで、お前に一番懐いているからな。
そんなことを言われたら、行けないじゃないですか。
あの子のこと、頼みましたよ神父様。
依頼の報酬は現物支給だそうだ
現物支給?
オリハルコン製の表紙で出来た聖書だそうだ
そのようなものが……
遙か彼方の時代には、戦う聖職者でもいたのだろうな
これか……
to be continued