- NarrGarten -



それはそれは素晴らしい庭なんだ。

大輪の薔薇の花たちが庭いっぱいに咲き誇り、
お日様はキラキラと光っている。

僕たちは、この庭が大好きだった…














ツヴァイク

おはよう。
リーリエ!

ツヴァイク

今日も夜が明けたよ

リーリエ

おはよう。
ツヴァイク

リーリエ

今日は眩しい朝日が
輝いているのかしら?

リーリエ

それとも美しい
雨の日なのかしら?

ツヴァイク

そのどちらでもないよ

ツヴァイク

だけど今日は寒いから、
もしかしたら雪が降るかもね

リーリエ

まあ、雪ですって!

リーリエ

庭に雪が積もったら、
どんなに綺麗かしら

リーリエ

きっと薔薇たちも雪で
お化粧をするのね

ツヴァイク

ああ、そうだよ、
リーリエ

ツヴァイク

庭の薔薇たちは、どれも綺麗に
咲いているもの

ツヴァイク

雪をまとったら、
きっともっと綺麗だよ

リーリエ

まあ、なんて素敵
なのでしょう!

リーリエ

私たちの素晴らしい庭が、
いっそう素敵になるのね

リーリエ

どんなに美しいのかしら。
見てみたいわ

ツヴァイク

大丈夫だよ、リーリエ。
雪が降ったら僕が教えてあげるよ

ツヴァイク

庭がどんな様子か、薔薇たちが
どんな雪化粧をしたのか

ツヴァイク

君にお話してあげるから
楽しみにしていて

リーリエ

ありがとう、
ツヴァイク

リーリエ

楽しみにしているわ

ツヴァイク

僕に任せておいてよ




その時、庭に一羽の鳥(とり)が舞い降りる。

寒い冬の朝、雲間から漏れた太陽の光を受けた、
その鳥(とり)は大きな翼を広げて地面へと降り立った。


ツヴァイク

ああ、リーリエ。
庭に鳥(とり)が降りてきたよ

ツヴァイク

虹色の羽根をした鳥(とり)だよ

リーリエ

まあ素敵!

リーリエ

薔薇の咲く庭に虹色の鳥(とり)が
いるなんて、なんて素敵なのかしら



烏(カラス)

ククク…

烏(カラス)

自惚れ屋の木偶の坊が。
せいぜい格好をつけるがいい








NarrGarten…



それは古くて大きな館の一画にある美しい庭。

その素晴らしい庭を僕たちは、とても愛していた…




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