私の母は、いつも【被害者】だった。


私は、母が苦手だ。嫌いなわけじゃないけど…。
母は、私が失敗したり甘ったれたりすると、とても怒った。相談のように愚痴をいえば、私の方が苦労している、と、いつの間にか母の話になっていた。
皿を割ってしまったり、皿によそったものの汁を母に少しかけてしまった時には、酷く怒鳴られた。私は、謝るしかできなかった。

きっと、私は【加害者】なのだ。何処に行ったってそうなのだ。私は、被害者でいてはいけないのだ。
学校であった嫌なことも、笑って話せるようになるまで母には言えなかった。相談や悩みを聞くよ、と言われても、母の前で被害者面をするのが怖くて、できなかった。私は、ごめんなさいということしか出来ない。謝る側にしか居れない。

ずっと、愛されていない感覚があった。
ずっと、居場所がないような気がしていた。
ずっと、ずっと。
だれにも必要とされていないんだと、分かっていた。

もう、消えてしまいたかった。
私はきっと、必要ない人間で
いなくなった方が喜ぶんだろう
行き場のない気持ちだけが募っていって
母といると沈黙が怖くて
話して調子に乗って失敗して
また、謝っていた。


私は、きっと、一生加害者なんだ。
誰も、こんな私を愛してはくれない。
そんなことは分かっているから、
どうかこれ以上、現実を押し付けないで。

もう私は、途方に暮れているから
【被害者】にはなれないと、知っているから

母について

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