彼女のなすがまま、俺は少し小さめの袋に詰めることになった……が、コレが中々入らない。
レジもやること多くて大変っスよね
ああ。ずっと接客とか絶対無理だな~
狼さん! この袋に、この商品全部詰めてみよ!!
な、何、急に!?
良いから良いから~
彼女のなすがまま、俺は少し小さめの袋に詰めることになった……が、コレが中々入らない。
……はぁ、こりゃあ入らないよ
だろうね、私だって入らなかったもん
え、ちょっと! 知っててやらせたのかよ!?
えへへ、ごめんね。こういう時、困っちゃうよねって話
さっきの俺の無駄な労力……
おや、そんなことで諦めるのかい? ちょい貸し!!
仕事終わりのオカミさん、どうやら俺達の会話を聞いていたらしい。ずんずんと此方へやって来ると、袋と商品を強引に奪い、力ずくで押し込み始めた。
おお~
すげ~
オカミさんが詰め込むと、袋が面白い程膨らみ、全ての商品が、あの小さめの袋に綺麗に詰め込まれた。……が。
案の定、袋がはじけ飛んだ。
……ああ、商品が
……買うよ、買えば良いんでしょう?
袋詰めするの? 私得意だよ
以前赤ずきんがお手製スタンプをプレゼントした女の子が、此方の会話に興味を持ってやって来た。
お客様、これは仕事ですので……
いいや、もうこの際やってもらいましょう! どうせこの商品も、私が買うんだから!! さ、やってみな
うん!
すると、女の子はおつかい用に持たされていた小さめの袋を取り出し、それに器用に詰め始めた。それはオカミさんのようなの力技で無く、ましてや俺のような手荒な入れ方でも無く、隅々の隙間と言う隙間へと詰め込む綺麗な入れ方だった。
出来たよ
おお! これは凄いねぇ!!
えへへ……あ、お姉ちゃん、スタンプカード溜まったよ
やったね! それじゃあ、……その商品、全部お姉ちゃんからプレゼントしちゃう!!
え!?
い、良いの……?
あはは、そりゃあ結構だね。ま、商品は割引品ばっかりだし、キャベツはヒビも入ってるから、良いんじゃないの?
そう言うこと! もう商品としては出せないものだから、持って帰ってくれると嬉しいな
うん、お姉ちゃん有難う!!
あ、でも……これじゃあ買い物出来ない……
……
……
女の子が呟くと、何故か二人が俺を見たので、俺はそっとスーパーの袋を差し出した。……ま、袋代くらい代わりに出しても、ね。