赤ずきん

狼さーん!!

 赤ずきんが俺を呼んでいる。

 こういった場合は、彼女のレジに人が並んでいる場合はレジ、彼女のレジに人が並んでいない場合はお手洗いだ。今回はレジ周りに人がいないので、お手洗いだな。俺は急いでレジに入り、立てていたかごを目の前に置いた。

 すると予想通り、赤ずきんはお手洗いの方向へと走り出していった。

バイト君

トイレの掃除ってダルくないっスか?

店長

俺は家でもトイレ掃除してるから……

赤ずきん

狼さんは何時も察しが早くて助かるよ~前はなかなか大変だったから

と言うと?

赤ずきん

う~ん、レジって結構大変でしょ? だから、お手洗い行こうと思ったら露骨に嫌そうな顔されたりしたんだ

そりゃあ大変だな……

赤ずきん

あ、お客様だ、それじゃあまた後でね

 赤ずきんは俺に手を振ると、レジの方へと去っていった。

 翌日、再度赤ずきんに呼ばれた。今回もレジ周りに人は無し、と言うことでかごを目の前に置いた。

 赤ずきんは可憐に両手を合わせ、ウインクをして去っていこうとする。が……。

お客様

いや、ちょっと並んでるんだけど

赤ずきん

えっと、あちらのレジに……

お客様

良いじゃん、やってよ

 お手洗いに行きたい人に対してこの仕打ち。何て失礼な狼だ……と言いたいところだが、どうやらそれには気づいていないらしい。

 心配になって赤ずきんの方を見ると――。

赤ずきん

大変お待たせいたしました!!

 と、頭を下げ、急いで接客をしていたから、凄く偉い子だと改めて感じた。

 狼の接客を終え、お手洗いから戻って来た赤ずきんの表所は、苦笑混じりだった。

赤ずきん

まさか、お客様にまで露骨に嫌そうな顔されるとはなぁ

全くだな

赤ずきん

あの人、いっつも私がお手洗い行くタイミングで来るんだよねー困っちゃう

じゃあ、お手洗い行くタイミングずらしたら?

赤ずきん

……成程ね!!

 今思えば、あの狼は赤ずきんに会いたくて来ているのかなと思った。こうして彼女の近くで働いている、俺のように。

お客様

……今日も可愛かったな、赤ずきん

13・宿敵現る? スーパー狼君

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