赤ずきん

狼さん! ぱんつくれ!!

ぱ、ぱっ……!?

 赤ずきんから、突然の一言。それも、”ぱんつくれ”。

 いや、俺としては全然渡しても良いし、むしろ貰いたいくらいでもあるのだが……ではなく!! 渡したいくらいなのだが、いやいや、それもおかしいか。

え、えっと……あげてもいっかな……なんちゃって

赤ずきん

ああ、狼さん勘違いしてる~パンツくれ、じゃないですよ。パン作れ、ですよ!! えへへ、騙してごめんなさい

 ああ、なんだ。パンを作れってことか。

 にしてもなんだ、何なのだこの可愛さと、恋人のような会話は! これは俺を既に友達以上の何かとして受け取っていると言うことなのか! 作ってやるさ、ああ作ってやるさ、君にならパンでもパンツでも!!

赤ずきん

実はこれ、さっき店長に言われて。私思わず店長のことぶん殴っちゃいました

 ……先程までの癒しが、急に殺伐として見えてきた。

バイト君

店長、何か痛そうっスね

店長

ああ、何故か赤ずきんに殴られたんだ。女心と秋の空ってね……

 俺が赤ずきんに怯えていると、赤ずきんのレジに鼻息の荒いお客様がみえた。

お客様

パン、パンツくれ!!

 どうしよう相当ヤバそうな人が来てしまった。それも、赤ずきんの列に。

 此処は俺が入るべきなのか、それとももう少しだけ様子を見て、赤ずきんの照れ顔を拝むべきなのか。俺は天使と悪魔の声を聞きながら、その様子を見つめていた。

赤ずきん

またまたぁ~お客様ったら。何も出ませんよ!

お客様

そこをなんとか! パンツくれ!!

赤ずきん

そんなこと、何で私に聞くんですか? 私は売る側なのに

お客様

頼む、パンツをくれー!!

赤ずきん

え? パンツ? パンじゃなくて?

赤ずきん

……

お客様

くれるのか?

赤ずきん

……だそうですよ、狼さん?

ええっ!?

赤ずきん

さっき、あげても良いって言ってましたよね?

い、いや……それは……

お客様

お前のは、要らん!!

は、はあ……

 ただただ、傷つけられる。そんな一日だった。

11・帰れ! スーパード変態!!

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