働くともなれば、俺と赤ずきんの間に起こり得る事態。それが、休みの日には会えなくなると言うことだ。週にたった二、三日のことであっても、俺にとっては七夕の日にしか会えない彦星と同じ気持ちになる。
今日は赤ずきん休みか……
働くともなれば、俺と赤ずきんの間に起こり得る事態。それが、休みの日には会えなくなると言うことだ。週にたった二、三日のことであっても、俺にとっては七夕の日にしか会えない彦星と同じ気持ちになる。
……まぁ、そんな時はデートの妄想で補うんだけどな
店長って、彼女いるんスか?
俺は仕事が恋人だから
出た~店長の”仕事が恋人だから”
あ、あのう……!
あれ? 今どっかから声した?
す、すみません、コレ配達でお願いします
何か聞こえるけど姿が見えないな……店長と話してんのかな
い、いや! ちが……
そこへ、細く白い手が視界に入って来たかと思えば、その手は一匹のお客様を掴んで持ち上げた。
狼さん、お客様ですよ!
赤ずきん! す、すみません、気づきませんでした
どうやら、休日にもかかわらず、赤ずきんは買い物に来ているようだった。何て素敵な出会いなのだろう……!!
それはそうと、お客様に気づけないとは失礼なことをしてしまった。慌てて頭を下げると、お客様は笑顔で大丈夫ですと優しく答えてくれた。
それにしても、その姿だと小さくて何かと不便でしょう?
ええまぁ
だったらいっそのこと擬人化しちゃえば良いのに
ぎじん……か?
ほら、人型になるやつ! 友達が、紙とペンがあれば一瞬で出来るって言ってましたよ!!
いや、赤ずきん。それはちょっと意味が違う気が……。
とツッコもうとしたら、彼女は徐に鞄から紙とペンと取り出した。
擬人化しちゃえ~!!
うっそ、変わった……!?
嘘だろ!?
ほら、誰にでも変われる可能性はいっぱいあるんだよ!!
いや、そういう問題じゃ……何か頭痛くなってきた
あの、ところで……
どうやったら元に戻れるのでしょうか? 家は元の姿の大きさに合わせてあるんですけど……
……
……
その後、お客様が袋詰めをしている最中、元の姿に戻ったので本当に良かった。