今日は赤ずきん休みか……

 働くともなれば、俺と赤ずきんの間に起こり得る事態。それが、休みの日には会えなくなると言うことだ。週にたった二、三日のことであっても、俺にとっては七夕の日にしか会えない彦星と同じ気持ちになる。

……まぁ、そんな時はデートの妄想で補うんだけどな

バイト君

店長って、彼女いるんスか?

店長

俺は仕事が恋人だから

バイト君

出た~店長の”仕事が恋人だから”

ネズミ

あ、あのう……!

あれ? 今どっかから声した?

ネズミ

す、すみません、コレ配達でお願いします

何か聞こえるけど姿が見えないな……店長と話してんのかな

ネズミ

い、いや! ちが……

 そこへ、細く白い手が視界に入って来たかと思えば、その手は一匹のお客様を掴んで持ち上げた。

赤ずきん

狼さん、お客様ですよ!

赤ずきん! す、すみません、気づきませんでした

 どうやら、休日にもかかわらず、赤ずきんは買い物に来ているようだった。何て素敵な出会いなのだろう……!!

 それはそうと、お客様に気づけないとは失礼なことをしてしまった。慌てて頭を下げると、お客様は笑顔で大丈夫ですと優しく答えてくれた。

赤ずきん

それにしても、その姿だと小さくて何かと不便でしょう?

ネズミ

ええまぁ

赤ずきん

だったらいっそのこと擬人化しちゃえば良いのに

ネズミ

ぎじん……か?

赤ずきん

ほら、人型になるやつ! 友達が、紙とペンがあれば一瞬で出来るって言ってましたよ!!

 いや、赤ずきん。それはちょっと意味が違う気が……。

 とツッコもうとしたら、彼女は徐に鞄から紙とペンと取り出した。

赤ずきん

擬人化しちゃえ~!!

ネズミ

うっそ、変わった……!?

嘘だろ!?

赤ずきん

ほら、誰にでも変われる可能性はいっぱいあるんだよ!!

いや、そういう問題じゃ……何か頭痛くなってきた

ネズミ

あの、ところで……

ネズミ

どうやったら元に戻れるのでしょうか? 家は元の姿の大きさに合わせてあるんですけど……

赤ずきん

……

ネズミ

……

 その後、お客様が袋詰めをしている最中、元の姿に戻ったので本当に良かった。

8・萌える? スーパー擬人化

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