[冷熱]

大丈夫か?

足をとられるとは、油断しました

こちらで雪が積もるのは、珍しいからな

この寒さなら、彼女、遊びに来れますね

今頃、形を成しているかもしれんな

――しかし、なぜこの地に留まるのか。
北の方が、身体にも合うだろうに

(……わかって、おられますよね?)

お久しぶりです、帝王様!

う、うむ、元気そうで何より

はいっ、今すぐにでも
齧り付いてもらいたいくらい
元気ですよ!

お前ほとんど雪と魔力じゃないか

だからこそ……
お身体まで、染み渡りたい

(……ゾクリ)

お久しぶり、元気そうね

弱る暇もない主人ですから

……帝王様の、最近の様子は?

騎士団の眼もありますし、
血液の代用品も高品質で、
昔ほどに吸ってはいませんね

……イヤよね

えっ?

主人の振る舞いを、聞かれること。
不快じゃない?

――気になるのは、私も、同じですから

冷ますのも、
眠らせるのも、
得意なはずなのに

(……氷精としての、彼女)

夏の欠片の時も

冬で形になった時も

同じなのよ

考えることは、赤い血と同じ、
熱くて粘っこいことばかり

……通ってない、のにね

……人形である私も、同じ、ですね

(それに私の熱は、あの方あっての……)

――だから、そんな冷めた顔には、
イジワルもしたくなるの

え?

私が、本当に羨ましいこと。
知ってるくせに

それは……

いいの、私は今だけでも。
でも、あなたは……

二人で、何の話だ?

罪深い帝王様を、
どう反省させようかって話です♪

……ワシ、どこで質問を間違えた?

年々、形が短くなりますね

温暖化か

北なら、まだ楽かも

……付いてきて、くださいますか?

――冬の旅行も、いいものかもな

その時は、ぜひ♪

(……触れれば、溶ける。なのに)

あなたも、一緒にね!

ええ。
帝王と、共に

(熱を表せるあなたが、眩しいわ)

pagetop