だから、さようなら。だよ。

なんで。

だから、ちからは、さようならなの

彼女は、ふわり、ふわりと笑う。

そして、ゆっくり、くるり、とまわる。

待って。

僕はまだ、君を知らないんだ。

しらなくてもいいよ。

いやだ、僕は、まだ……それなら、力なんて、いらな……

ちがう、ちがうよ。

なんで、いやだよ。

だいじょうぶ、わすれないよ


その優しい声が、優しい表情が苦しい。

そこには、僕の入り込む余地がないんだ。



































まるで、
僕だけが別れを悲しんでいるようじゃないか。



まるで、
僕だけが置いて行かれたようじゃないか。






だって、消えるのは君なのに…!
僕は、こわいよ。
君が、消えるのが。

いやだ、いやだよ…

泣きそうだね
……嬉しいな

そんな君の言葉。

それが、すごく酷い言葉なはずなのに、
ひどく温かく感じてしまう。

私はね、君が、背伸びしてた君が、大きくなったのを、見てた

ずっと、ずっと、君が私を知る前から、ずっと見てたの。

私は、貴方のせいで消えてしまう。

それは決まっていること、繰り返していること

そう正直に言うと、貴方がはじめ嫌いだった!

大嫌いだったの!!

支離滅裂だね

でも、貴方が、私を、「つまらない」と言わなくなった日。

私も、貴方が生きていくこと、
応援したくなっちゃったんだ…。

もう、覚悟なんて出来てる

私が、消える時に、
そこに貴方がいるのなら、
貴方が、私を泣いてくれるのなら、

私は、貴方の為に、永い眠りにつくことぐらい、簡単なことになるの。

ねぇ、私は、これからも、
そうちゃんと一緒に、いれるよね?

ごめんね。




うん、って言って

なんて、なんて、ひどいんだろう。
なんで、こんなに、わがままなんだろう。

どうして、この子に、
ふつうの人生がなかったんだろう…!


ちがう。
知ってる。



僕らは、概念だ。
ただの概念に、付加してしまったんだ。




神様の遊び程度に
感情というもの、
身体というもの、
仮初めの人生――というものを。









神様…!
いるんだろう!?


だって、僕らのような存在がいるのなら
神様だっているに決まってる!!


それなら、どうか、どうか…!

いるよ。
ずっと、君は、僕と一緒にいるよ。

うれしいな。

また、君が、ちからを忘れたら、

その時は、僕が、いなくなる。

そうして、私がうまれる。

いやだ、いやだ。

いやだけど、彼女を送り出さなければいけない
彼女に悲しい思いをさせたくない…!




だから、僕は嘘を吐く。
僕に、嘘を吐く。

私たちは、

一生、一瞬しか会えないけれど、ずっと、ずっと、傍にいる

……ごめん、やっぱり平気じゃない

だって、私たちは兵器じゃないもの

……泣いていいかな?

そうやって、言ってくれて僕は嬉しい。

なごみちゃんがいなくなったら、
死にたくなる時点で、

僕は、この象徴として失格だと思う

私も、貴方のことが好きな時点で、
私として、失格だと思うよ

私は、君には立派になって欲しい。
でも、私のことを好きになって欲しい

矛盾してるよ

でも、全く同じ気持ちなんだ

僕は、いつでも短命だ。
だから、また――

ねぇ、どうすれば、一緒にいられるのかな?

………ッ

それは駄目。

今の状態だって、
贅沢すぎるほどなんだから

私も、おんなじだよ

うん。いいや。

だって、ずっとずっと一緒なんだから。

次は、君が、私をずっとずっと見る番だよ?

もう、いなくなるんだ…?

だいじょうぶ。

だって、貴方は、
わたしのことを「つまらなくない」と思ってる

わたしも、貴方が好き。

だから、きっと、これは――

僕の死神が、とうとう大きくなったんだ…?

僕は、概念だ


死を、血を、狂気を好むように出来た
いわゆる「乱」という概念。


だが、もう、この世界は壊すものが何もない

だから、世界は「平」らだ。

そして、彼女が、また、眼を覚ました。


―――また?
僕は、何かを知っていたみたいだ。



でも、それは要らない記憶だから壊されたのだろう

生憎と、まだ、透明度が低くて、
生きるに値しなさそうだけど

私は、貴方の事が、嫌い

そう。それでいいよ。

憎悪こそ、僕の糧だ。
もっと、それを僕にくれないかな?

なんで、そんな事が出来るの…?

うざ。

この世界で、そんな馬鹿な事言ってたら
お前、真っ先に殺されるよ?

本当に、コイツが、僕を殺すの?

わけがわからないんだけど

何故だろう。

良く分からない衝動に駆られる

この少女を、知りたい。
そして、知ってもらいたい。

うるさい。何かが、何かが、うるさい。

僕は、コイツにまだ殺されたくない。
コイツを、壊す為に、コイツを知りたい。
そう。壊す為に知りたいんだ。


知りたい。何も知らなかったから。


――なごみちゃんを、知りた――

………今、何を知っていた?

私は嫌い。

私を知らない、そうちゃんなんて嫌いだ

……なんで、名前を知っているんだ。

分からない。

ただ、口から出ただけ

これは、僕が死ぬまで
彼女が生き返るまでの間のこと。


そして、私が、君の為に眠るまでのこと

表裏一体の僕ら

表裏一体の僕ら

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