オフィスに入ってきたのは、
公園でおにぎりを喉に詰まらせた
おじいさんだった。
 
 

おじいさん

…………。

宗武(総務課長)

あっ、会長。

アリス

会長?

 
 
担当者の声を聞き、
アリスは思わず顔を上げた。

するとアリスとおじいさんは目が合って、
ほぼ同時に声をあげる。
 
 

アリス

おじいさんっ!

おじいさん

おぉ、さっきの子じゃないか!

 
 
まさかこんな場所で再会するとは
お互いに思っていなかったようだった。

なんとおじいさんはこの会社の
代表取締役会長だったのである。


一方、担当者は事態を飲み込めず
キョトンとしている。
ただ、ふたりが面識のある仲だというのは
なんとなく察しているようだった。
 
 

おじいさん

ところで何かあったのかね?
そんなところに座り込んで?

アリス

そうだっ、おじいさん!
実は――

 
 
アリスはおじいさんに事情を説明した。

それを聞いたおじいさんはアリスに歩み寄り、
手を差し出して優しく微笑む。
 
 

おじいさん

安心しなさい。
契約は続けさせてもらうよ。
それだけじゃない。
今日は残りの商品を
全て買おうじゃないか。

アリス

ホントですかっ!?

おじいさん

宗武くん、それでいいね?

宗武(総務課長)

会長がそうおっしゃるなら……。

アリス

ありがとうございますっ!

おじいさん

あと私の自宅が近くにあるのだが、
そちらにも毎日、
牛乳を配達してもらおう。
新規で契約するよ。

アリス

いいんですかっ!?

おじいさん

いや、これだけでは申し訳ない。
そうだ、知り合いの会社社長も
紹介してあげよう。
私が頼めば契約してくれるはずだ。

おじいさん

それと将来、
就職に困ったら私を頼りなさい。
こんな小さな会社でよければ
よろこんで雇わせてもらうよ。

アリス

おじいさん……。
そこまでしてくれなくても……。

おじいさん

私はね、お嬢さんの
優しい心に感激したのだよ。
きっと違う世界でも
その優しさは変わらないと思う。

おじいさん

神様はきちんとお嬢さんを
見ているんだよ。

 
 
この時、アリスは自分の判断が
間違っていなかったのだと確信した。

そんな自分が誇らしかった。



アリスは契約打ち切りというピンチを脱し、
しかも商品も完売。

さらに新規契約を多数獲得するという
最大級の成果を上げることが
できたのだった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

~エクストラエンド~

アリス

エクストラエンドおめでとうっ!
ここまで辿り着けたってことは、
キミはこのゲームブックで
たくさん遊んでくれたんだよね?

アリス

私はすごく嬉しいよっ!!

アリス

諦めない心と優しい心。
これからもキミには
それを大切にしてほしいなっ♪

 
 

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