時! 未来!
至聖狼王オスカーの崩御より!
さらに進むこと百数十年!
人類は未だ根絶えず!
文明を崩壊させもせず!
今もなおこの星の地表にて!
禍福あざなえる命の連環をこそ!
飽きも倦みもせず営み続けたる!
時! 未来!
至聖狼王オスカーの崩御より!
さらに進むこと百数十年!
人類は未だ根絶えず!
文明を崩壊させもせず!
今もなおこの星の地表にて!
禍福あざなえる命の連環をこそ!
飽きも倦みもせず営み続けたる!
Toy set……
…………!
…………!
Fight o――
瞬間! 物音!
庭師のケープが!
超自然の力にて吹き飛ばさるる!
――!? 何事だ、半身たる私よ。
紫の衣の下!
そこには二人!
夢の庭師と思しき青年!
そしてもう一人!
この少女は何者ぞ!?
夢の庭師には非ざるべし!
その目は昏くも猛き意志に燃え!
トイをも子らをも見ざるなり!
遥かな久遠をのみ見る目!
輝きたれども狂える光!
ああ、狂えるとても、
狂気にも揺らがぬ覇者の理性!
いとやんごとなき出自は明らか!
ああ、神々よ!
我は問う!
この少女は何者ぞや!?
そのような呼び方は、もうおよしなさいませ。私は夢の庭師でなく、元のマーヤに戻ったのですから。
……マーヤ……とても、懐かしい名だ。
が、感傷に浸る間はない。元に戻りたまえ。今はファイトスタート寸前なのだ。ラァラとバルトに迷惑をかけることは、君も本意では無かろう?
そうですね、二人のトイファイトが見れないのは少し残念です。ですが私はもう、夢の庭師ではありません。
だからお兄さまのために、なすべきことをするだけです!
待っていてくださいね、お兄さま。お兄さまのまだ健やかでいらっしゃる時代へ、マーヤは戻りますから……!
……やれやれ。さて、水入りだったが、君らのトイファイトには関係ない。ファイトスタートの準備はいいね?
……ねえ、それよりいろいろ聞きたいんだけど。あなたは、審判さん、でいいんだよね?
そうだ。君が今まで夢の庭師と認識していた存在からは、マーヤ――今いなくなった少女――の要素を欠いてはいる。だが私は夢の庭師であるし、トイファイトの円滑な進行をつかさどる審判のようなものであることに変わりはない。
あの女の子は、何故急に現れて、急に行ってしまったの?
……今も昔も、マーヤは愛のために動いている。
ここ二百数十年の間、マーヤは夢の力を密かに貯めていたのだろう。私の目を欺いて。夢は時空を超越する。あれだけの夢の力なら、愛する者の生きている時代に遡ることも可能だろう。
二百数十年……すっごく昔だね。じゃああの子にはもう会えないのかな? 一目見て、友達になりたい、って思ったのに……
さあ。それはどうだろう?
マーヤが記憶を保ったまま、時を遡れるかは怪しいものだ。夢は時空を超越する。だがヒトは、寝る間に見た夢の大半を忘れてしまう。おそらくは、時を遡ったことさえも忘れて、かつてと同じように過ごしてしまうのではないかな。
……私が思うに、マーヤの試みはうまくいくまい。君らのトイファイトが終わるか終わらないかのうちに、ここへ帰って来ることだろう。
もっとも、私に時間遡行の経験はないから、これは当て推量に過ぎんがね。
が、君らとてそれは同じはずだ。結局、時はヒトやトイが相手にすべきものではないのだ。
――だから、今はトイファイトだ。この今を楽しもうじゃないか……!
あんたはほんっと、トイファイトマニアだよなあ……!
夢!
月と地球の間を!
箱馬車が進んでゆく!
!
わ。
おねえさま、お目覚めですか?
はい。……うたたねしてしまったようですね、やはり泳いだあとは、眠くなるものです……
水上トイファイトの場に!
安徳天皇とシャチが介入!
瀕死のショタスキーを救助するなど
諸事を済ませたのち
あの場は自然解散となった!
具体的な内容を
お望みの読者諸卿には!
『絆の軽重』編をお読み願いたい!
マーヤとオスカーは!
水遊びをしていたカケトらを見て
自らも水遊びをしたくなった!
そのため
地球のゲルマニア領土にある
狼室専用海岸に行き!
体力の限りに遊びにけり!
今はその帰り!
夢の力で動く箱馬車で!
月都へ帰る途上なり!
そうですね……ぼくもねむいです……
お城へ帰ったら、ちゃんとお布団で寝ましょうね……
……ふぅ。そろそろ今日も終わりそうだぜ……しかし長い一日だった……感覚的には数か月くらいあったような気がするが、気のせいだよな……