あなたと会えなかったとき
あなたと会えなかったとき
この問題は誰に答えてもらおうか
はい!
君は確か、転校生の
はい!
じゃあ答えてみなさい
「y = 3x + 5」です
正解です
この x の係数である 3 というのは……
先生
何かな?
ここなんですけど
ん? ここは君は答えられたじゃないか
あ、いえ、理解はしているのですけど、どうやって教えたらいいか分からなくて
教える?
えっと、友達に
…………その生徒はなぜ私に聞きに来ないのでしょう
あ、違うんです
私、勉強を教えるのが好きで、好きでやってるんです
そうですか
これはですね
はい
先生!
久しぶりですね
教育実習、頑張りなさい
はい!
本当は、先生のクラスに付きたかったんですけど
そうですか
彼は良い教師なので、しっかり学ぶのですよ
はい!
先生
どうしました?
私、自信をなくしてしまいました
ふむ
どうしたら良いでしょうか?
君は身分はまだ学生なのだから、出来ないことがあるのは仕方ありません
……はい
その出来ないことが出来る自分を想像しなさい
出来る自分を想像する?
はい
そして、出来る自分を演じるのです
出来る自分を演じる……
最初は上手くいかないでしょうけど、君ならちゃんと出来るようになりますよ
……はい
先生!
おや、君も教師になったのではないかな?
はい!
おめでとう
ありがとうございます!
これから大変だと思いますが、頑張りなさい
はい
ふむ
で、なぜ私は呼ばれたのか、昨日から考えていたのですが、分かりませんでした
教師である君に、ぜひ教えてもらいたいですね
あ、はい!
学生の頃も、教育実習のときも、先生にとてもお世話になりました
頑張ったのは君ですよ
教育実習のとき、先生に教えてもらったことは、私のモットーになりました
ふむ
「出来る自分を想像する」
「出来る自分を演じる」
そういえば、そんなことを言いましたね
実は、あれから想像していたことがあるんです
何でしょう?
先生の隣にいる自分です
ふむ
先生
はい
ずっと私の隣にいてください
おやおや、まるでプロポーズのような言葉ですね
えっと……
冗談です
…………いえ、そういう意味です
お、おやおや、それは困りました
年の差を考えてしまう気持ちは分かります
いえ、そこは特に気にしてはいませんけど
いきなり結婚してくださいって言うつもりはありません
あの、まずは恋人から
あ、はい
ダメ……ですか?
困りましたね、こういうのは慣れていないんです
あの、私も初めてですから
ゆっくり進んでいけたらなって、思います
そ、そうですね
あの……ダメですか?
ん、まあ、その
恋人じゃなくても、普通に会ったりするだけでも構わないので
まあ、それなら
本当ですか!
え、ええ
えっと、その、これからよろしくお願いします
はい、よろしくお願いします