アスター・エーデルシュタイン

シャンブルの家系であるヤーデ家は元は小さな貴族の一家だった。そして、シャンブルには2人弟がいたらしい

アスター・エーデルシュタイン

病弱だった弟を助けるために多額の金を動かして手術を受けさせた。結果的に助かりはしたけど、権力と財力が密接に関わりあうこの国にとって一度の多額の出資は自殺行為に等しい。貴族と名乗れるだけの金も失ったヤーデ家は没落して、心労でシャンブルの両親は他界したらしい

ナルシス・エーデルシュタイン

それが、シャンブルが貴族を憎む理由か

アスター・エーデルシュタイン

みたいだね。まぁ、CSを作った動機とかはこれから吐かせるってローテさん言ってたよ

アスター・エーデルシュタイン

ひとまず、一件落着ってわけか。まぁ、あれから1ヶ月だもんね。ある程度は区切りもつくよね

アスター・エーデルシュタイン

体の調子はどう、フルッタ?

フルッタ

おかげ様で洗脳も落ち着きましたし、日常生活を送れるほどにはなりました

フルッタ

ですが、CSによってすり減らした寿命はどうやっても戻りません。それに、内臓として働いてもCSの侵食は止まりません。結果的に短命になったことは否めませんね

アスター・エーデルシュタイン

けど、これでシャンブルの実質的なしもべになる必要はない。本当の自由な生活を手に入れたんだ

フルッタ

それなんですが、なにせ私達は孤児院とシャンブルに縛られた生活しか知りません。なので、今になって自由な生活と言われましても……

ナルシス・エーデルシュタイン

なら、私の屋敷で働けばいい。私の屋敷は広いからな、人手は多くて困ることはないだろう

フルッタ

……いいんですか?

ナルシス・エーデルシュタイン

あの孤児院を解散させ、クリエやアスターを含めた子供たちを引き取ったのは私だ。君達を引き取るくらい何でもないさ

アスター・エーデルシュタイン

なに?遂にザートはメイド引退?

ナルシス・エーデルシュタイン

本人はそれは嫌だと言いそうだがな

アスター・エーデルシュタイン

ねえ、フルッタは家に来てよ。今までなんとかなってたけど、やっぱり車椅子の生活って大変なんだよね。身の回りのこととか手伝ってくれると助かるな

フルッタ

…………はい。私でよければ

ナルシス・エーデルシュタイン

ところで、クリエはどこに行った?

アスター・エーデルシュタイン

さあ?きっと墓参りじゃない?

クリエ・エーデルシュタイン

……よいしょ

クリエ・エーデルシュタイン

これくらいでいいかな……?

…………あら?

クリエ・エーデルシュタイン

えっ?

ダリア・ブルートシュタイン

…………っ

クリエ・エーデルシュタイン

……うわぁ

ダリア・ブルートシュタイン

あ、あのっ、ごめんなさい驚かせてしまって

クリエ・エーデルシュタイン

……別にいいけど

ダリア・ブルートシュタイン

お花摘んでいらしたのですね。よければご一緒しても?

クリエ・エーデルシュタイン

う、うん

ダリア・ブルートシュタイン

私、ダリアと申します。あなたは?

クリエ・エーデルシュタイン

…………えっ?

ダリア・ブルートシュタイン

……どうかなさいました?

クリエ・エーデルシュタイン

う、ううん。なんでもない

クリエ・エーデルシュタイン

私は……クリエ

ダリア・ブルートシュタイン

クリエ様、ですね。素敵な名前ですわ!

クリエ・エーデルシュタイン

あ、ありがとう

ダリア・ブルートシュタイン

ところでクリエ様、どうして花をお摘みに?

クリエ・エーデルシュタイン

友達のお墓に、お供えしようと思って

ダリア・ブルートシュタイン

……ごめんなさい。お気を悪くしました?私最近他の方との距離感が掴めなくて……

クリエ・エーデルシュタイン

ううん、気にしないで

クリエ・エーデルシュタイン

でも、私たちのために命がけで頑張ってくれた、大事な友達だから。ちゃんとお供えしたいなって……

ダリア・ブルートシュタイン

命がけ……

クリエ・エーデルシュタイン

あ、ええと、その

ダリア・ブルートシュタイン

素敵な、方だったのですね

クリエ・エーデルシュタイン

…………

クリエ・エーデルシュタイン

……うん

ダリア・ブルートシュタイン

あのっ、2つお聞きしたいんですけど

クリエ・エーデルシュタイン

ん?

ダリア・ブルートシュタイン

私、以前お会いしたことありました?

ダリア・ブルートシュタイン

なんといえばいいか……不思議な感覚ですの。あなたのことをずっと探して追い求めていたような、そんな変に消化できない感覚が

ダリア・ブルートシュタイン

もし以前お会いしたことがあるのでしたら申し訳ございません。あなたのことを思い出せなくて

クリエ・エーデルシュタイン

……たぶん、会ってないと思う

ダリア・ブルートシュタイン

……本当ですか?

クリエ・エーデルシュタイン

うん

ダリア・ブルートシュタイン

……よかった。あっ、また私の話し相手になっていただけません?

ダリア・ブルートシュタイン

同年代のお友達って、あまりいなかったものですから

クリエ・エーデルシュタイン

うん、いいよ

ダリア・ブルートシュタイン

そういえば、怪盗シャムロックという盗賊をご存知です?貴族から宝石ばかり盗むらしいのですけど、また久しぶりに動き出したみたいですの!!

アスター・エーデルシュタイン

……これで本当によかったの?

ザート・エーデルシュタイン

良かったも何も、結果こうなっちゃったんだから

アスター・エーデルシュタイン

もうCSなんて方法使えないの、姉さん分かってるよね?

ザート・エーデルシュタイン

どうかしらね?でも、シャンブルが逮捕されたのは知ってるはずだし。それに

ザート・エーデルシュタイン

クリエが昔から頑固だってこと、アスターはよく知ってるでしょ?

見張りの数を増やせ!!

こっちに追加の人員頼む!!

ローテ

お言葉ですがピルツ様、怪盗シャムロックは――――

ピルツ・シュランム

黙れ!!このピルツ・シュランム、一度受けた屈辱は必ず返す!!露店で見つけた純性宝石を餌に、今度こそ怪盗シャムロックめをとっちめてくれるわ!!

ローテ

はあっ……シャンブルの調書も仕上げなければならないのに……

隊長、上に誰かいますっ!

ローテ

何っ!?

怪盗シャムロック

…………

怪盗シャムロック

…………

37ct  そして純性の日常へ

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