シャンブルの家系であるヤーデ家は元は小さな貴族の一家だった。そして、シャンブルには2人弟がいたらしい
病弱だった弟を助けるために多額の金を動かして手術を受けさせた。結果的に助かりはしたけど、権力と財力が密接に関わりあうこの国にとって一度の多額の出資は自殺行為に等しい。貴族と名乗れるだけの金も失ったヤーデ家は没落して、心労でシャンブルの両親は他界したらしい
それが、シャンブルが貴族を憎む理由か
みたいだね。まぁ、CSを作った動機とかはこれから吐かせるってローテさん言ってたよ
ひとまず、一件落着ってわけか。まぁ、あれから1ヶ月だもんね。ある程度は区切りもつくよね
体の調子はどう、フルッタ?
おかげ様で洗脳も落ち着きましたし、日常生活を送れるほどにはなりました
ですが、CSによってすり減らした寿命はどうやっても戻りません。それに、内臓として働いてもCSの侵食は止まりません。結果的に短命になったことは否めませんね
けど、これでシャンブルの実質的なしもべになる必要はない。本当の自由な生活を手に入れたんだ
それなんですが、なにせ私達は孤児院とシャンブルに縛られた生活しか知りません。なので、今になって自由な生活と言われましても……
なら、私の屋敷で働けばいい。私の屋敷は広いからな、人手は多くて困ることはないだろう
……いいんですか?
あの孤児院を解散させ、クリエやアスターを含めた子供たちを引き取ったのは私だ。君達を引き取るくらい何でもないさ
なに?遂にザートはメイド引退?
本人はそれは嫌だと言いそうだがな
ねえ、フルッタは家に来てよ。今までなんとかなってたけど、やっぱり車椅子の生活って大変なんだよね。身の回りのこととか手伝ってくれると助かるな
…………はい。私でよければ
ところで、クリエはどこに行った?
さあ?きっと墓参りじゃない?
……よいしょ
これくらいでいいかな……?
…………あら?
えっ?
…………っ
……うわぁ
あ、あのっ、ごめんなさい驚かせてしまって
……別にいいけど
お花摘んでいらしたのですね。よければご一緒しても?
う、うん
私、ダリアと申します。あなたは?
…………えっ?
……どうかなさいました?
う、ううん。なんでもない
私は……クリエ
クリエ様、ですね。素敵な名前ですわ!
あ、ありがとう
ところでクリエ様、どうして花をお摘みに?
友達のお墓に、お供えしようと思って
……ごめんなさい。お気を悪くしました?私最近他の方との距離感が掴めなくて……
ううん、気にしないで
でも、私たちのために命がけで頑張ってくれた、大事な友達だから。ちゃんとお供えしたいなって……
命がけ……
あ、ええと、その
素敵な、方だったのですね
…………
……うん
あのっ、2つお聞きしたいんですけど
ん?
私、以前お会いしたことありました?
なんといえばいいか……不思議な感覚ですの。あなたのことをずっと探して追い求めていたような、そんな変に消化できない感覚が
もし以前お会いしたことがあるのでしたら申し訳ございません。あなたのことを思い出せなくて
……たぶん、会ってないと思う
……本当ですか?
うん
……よかった。あっ、また私の話し相手になっていただけません?
同年代のお友達って、あまりいなかったものですから
うん、いいよ
そういえば、怪盗シャムロックという盗賊をご存知です?貴族から宝石ばかり盗むらしいのですけど、また久しぶりに動き出したみたいですの!!
……これで本当によかったの?
良かったも何も、結果こうなっちゃったんだから
もうCSなんて方法使えないの、姉さん分かってるよね?
どうかしらね?でも、シャンブルが逮捕されたのは知ってるはずだし。それに
クリエが昔から頑固だってこと、アスターはよく知ってるでしょ?
見張りの数を増やせ!!
こっちに追加の人員頼む!!
お言葉ですがピルツ様、怪盗シャムロックは――――
黙れ!!このピルツ・シュランム、一度受けた屈辱は必ず返す!!露店で見つけた純性宝石を餌に、今度こそ怪盗シャムロックめをとっちめてくれるわ!!
はあっ……シャンブルの調書も仕上げなければならないのに……
隊長、上に誰かいますっ!
何っ!?
…………
…………
月宮 遠さん
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
最後は絶対怪盗シャムロックで締めようとは考えていました
感動してもらえたのなら嬉しいです(´∇`)