【75】


























ボクはまたお座敷に戻された。

王子様のおな~り~

……

やあ、僕が王子だよ!

ああ!?
あの時のハニワー!!

王子、と呼ばれて出てきた奴は

クスクス山で怪しげな呪文を教えてきた
あのハニワだった。

お知り合いでしたか。それは仲良くなるのも早うございま、

あんた、あのおじゃるとか言ってた赤いハニワはどうしたの!?

あの

あ、ええっと

……

ああそうか!
あの赤いのがいるから今まで断ってきたんでしょ!!
なら今回もぱーっといっちゃいなさいよ!!

ええと、

あ、いや、ええっとね

そこまでよ!

ハニワが現れた!
(余計な奴が増えた)




なんだかんだと聞かれたらっ!
答えてあげるが世の情け!

聞いてない。誰も聞いてない

らぶりーちゃーみーなハニワ役!

……そのままだし


赤いのが名乗りを上げている間にも

なんですか! まだあの女と切れてなかったんですか!

えーだって代役だもん、そこまでやんなくてもいいっしょー?


雲と緑は口論している。

名乗りなんか誰も聞いちゃいない。



そして

あーもーやってらんねー! この雲うるさすぎっすよ王子ー

緑が口走った。

王子!?

ネリーのほうを向いて。

……バラすな

ちょっ、王子って、ええ!?

どういうこと!?

もしかして若そうに見えるけど実はいい歳したオッサンで、ロリコンな上に異常性癖があるもんだから嫁が全然来ない、

妄想が過ぎるだろう

ですから! もう面倒だから祝言上げちゃいま

ちょっと黙ってて!

あ――……





























今回のことは
いつまでもフラフラと
身を固めないネリーに
雲が暴走してやったことらしい。

途中でその暴挙に気づいたネリーは
阻止する機会を伺っていたらしい。






本人談だから真偽は不明だが。




まぁ……そういうことだ。
帰っていいから





阻止する機会を


……ねえ

だったらどうして、すぐに逃がさなかったの?
ワタアメとか作る必要もなかったのに

逃がす機会はいくらでもあった。

ボクを飴屋に連れ回すことなんか
なかったじゃない?

……

……あーええっとな、俺だってちょっとくらい遊びたかったりするわけよ
付き合わせて悪かったよ





なにも答えないまま
ネリーは外を指さした。

ほら、もう帰った帰った

……
















































おーい、お姉ちゃーん

良かった! 無事だったんだ!

橋まで戻ってくると
シルフィと鳥男が
飛行船の前で待っていた。

怪我はないようだね

鳥男さんも無事でよかったです

はは。鳥男か。そりゃあいい







なんだかよくわかんないけど、帰れてよかったねー

う、うん


心残りがないわけでもない。

でも。





ボクたちは
飛行船に乗り込んだ。










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