ここ最近、江慕(エボ)の町で流行っているのが、伝言板の代わりとされる、この辞書ロボット”コトハ”であった。しかし、皆からは辞書ロボの名で支持されている。
江慕の町と言っても、住むのは人の子。鬼とは一切関わり合いの無い存在だった。
しかし、鬼だって好奇心と言うものがある。面白そうな存在の登場に、皆密かに心躍っていたのだ。
鬼の首領である鬼いさんもまたその一人で、眠りにつく人の子の目をすり抜けては、このカラクリの前まで来ていた。
ポチっとな。手の甲の起動ボタンを押すと、カラクリは、まるで人の子のようにゆっくりと目を開けた。