いつのことか。
そんなの覚えていない。
でも、これが、吾輩の記憶のはじまりだと思う
丁度、今いるの堕天使様と、ただの人形だし、話しても大丈夫かな?
何をですか?
くっだらない昔話だよ!
いつのことか。
そんなの覚えていない。
でも、これが、吾輩の記憶のはじまりだと思う
眼を開けると、そこに人が立っていた。
……これは?
これは、お前。
わっ!
いきなり、声出すなよ吃驚した
壁? それとも、窓?
何処からか聞こえる言葉に辺りを見回す。
その時に、目の前には鏡があって
僕自身が映っていることに気付いた。
キミは、誰?
ヴィクターJr. それがお前の名前。
違う、キミは?
何にも知らなくても良い。
でも、一言。生まれてきてありがとう。
いきなり気持ち悪い
帰って。帰れ
待て待て待て。
言っとくけど、そういう意味じゃない。
何それ?
あー、まあ、そうだよなー。
誰が何と言おうとも、どういう過程で作られようが、守り切りたかった。無責任だけどな
言動に腹立って苛々はするかもしれないけど。
あ、うん。
よく分からないけど、変態ってこと?
もういい。変態でも何でも呼べ
んで、お前には大事なお願いがある。
大事なお願い
お前は、吸血鬼だ。
え?
話すすめるぞー。
その城にいるのは、お前のお母さんとお父さんが、眷属にした人間だ。
眷属?
あー、えっと、聞いてくれる便利な召使いたち?
吸血鬼ってことは、その人たちから血をもらって生きればいい?
そうやって、言付かっている。
誰から?
お前のお父さんとお母さん。
ふぅん。どんな人?
金髪で、青い眼をしていた。
当たり前すぎるんだけど。
あと、頭が良かった。
そうだね。
金持ちだ。
城があるぐらいだからね。
そ、そうだなー。
まあ、いいや。 で、何すればいいの?
王になればいい。
全く良く分かんない。
どうやってなればいいの?
さあ。
飽くまでも、オレは頼まれただけだからなー
無理矢理、顔見たさに来たってのもある
僕の顔が可笑しかった?
反対だ。
可笑しくなくて本当に安心している。
あ、一人称、吾輩に変えたらどうだ?
吸血鬼っぽいぞー
なんかダサい。
良いから、吾輩。
わ、がはい……くすぐったいな…。
で、出身もルーマニアにしろ。
それっぽいから
何だそれ?
いいよ、それぐらいの願いで王になれるなら。
いや、なれないけどな!
ええええええ!?何それ!?
なんていうか、あれだ。
魔王を倒して、魔王になれ!みたいな願いらしい
その為に王になってって?
まあそんな感じだ。
今、魔王から逃げてる奴がいて、それから頼まれてる。
そんなの、出来ない…。
んじゃあ、お前なりに良い死に方見つけて、うまーく死ね。
ハッピーエンドって奴だ。
ハッピーエンド?
そうだなー。語弊はあるけどな
それで、最後に一つ。
自分で死ぬことも出来ず、どうしても、つらくなったり、諦めようかと考えたりするのなら
――白雪に声かけろ。もう、つらい事を全部吐いてこい。
誰それ。
ただのキチガイ暴食女。
不幸な奴ほど美味しく感じる異常者。
お前が、つらいなら、オレは、終わりで良いと思う。
全く、良く分からない。
そうだな。
また、不祥事発生したらオレも強制呼び出し喰らうと思うし
……不祥事?
あー、いや。
遠くから、応援はしてる。
うん。全く良く分からないけど、
変態が味方してくれることだけは分かった。
――もう、いなくなる味方だけどなー?
あとは全部ひとりで頑張れ。
ねぇ、最後に。君の顔、見せて。
顔が見たいから来たのに、吾輩だけ顔見れないのは不公平だよね?
ま、まあ、そうだなー。
鏡に一瞬だけ映してもらうか
とりあえず、覚えた。
きっと忘れるけど。
なら、見せなくてよかったか!?
嘘だよ。
会ったら、それっぽい事言って挨拶するからちゃんと答えて。
会ったらなー。
銀髪で、涼し気な湖の青
それが、吾輩が覚えている彼の特徴だった。
と言うだから、今から白雪のところに行くんだ
そういう経緯があったのですね。
そうそうー、急ぐよー!