周り一面深緑の芝生に囲まれた丘の上。

武器もない。
人もいない。
腰も抜けた。

バッドエンドに向けて三拍子揃っている…

クロガネ

黒鉄 亮 17歳 異世界にて死す。

神様!チートは?!お助けは?!美少女は?!

はっ!
もしかして不死身とか


……すみません俺が馬鹿でした。


異界人の墓とか誰が管理するんだよ…
というか骨も溶ける?真逆のスライム葬?!


滑らかーにこちらに滑ってくるスライムを見ながら考える。


意思疎通←無理そう
戦う←溶けるね
魔法とか←指先に力込めても何も起こらないし
逃げる←はっ?
一回死ぬ?←目が覚めたらベッドの上とか
持ち物←ケータイ、ペン、制服、あと身につけてたもの……


ん?
霊符(ふだ)?



足につけたホルダーには霊符が何枚か。
た、確かにお祓いとには使えるけどぉぉぉ……?

やるしかない。


そうさ、失敗したって笑う奴なんていねーよ。誰も来ないし

クロガネ

あああ!もう!きゅっ…急急如律令!


噛みながらも太ももに付けていたホルダーから霊符を出しスライムに投げつける

と、

クロガネ

燃えたぁーーーー?!?!


スライムは勢いよく燃え、灰となって消えていった。

クロガネ


嘘だろ…?こんな世界に陰陽道なんてあるのかよ…というか霊符持ってて良かった…


身体から力が抜け、芝生に寝転がる。

雲ひとつない青空。
綺麗だ…



そして俺はびしょ濡れになった。

噛んだって誰も笑わない

facebook twitter
pagetop