リチャードリースの声。手招きしているのはあるお屋敷の玄関前。
「あ、ギルバート、こっちこっち」
リチャードリースの声。手招きしているのはあるお屋敷の玄関前。
「ここなの」
「うん、この奥にゲテモノ、違ったオーベルジュ・白薔薇亭があるの」
「ゲテモノ…」
「気にしないで。ウォルターさんもいるし」
「は、私が役に立つのですか」
「うーん、あまり役にたたないかもしれないけどね…ま、いいか」
リース君に案内されて着いたのはテレジアンイエローの瀟洒な館。庭には白薔薇。玄関には徽章がある。
「これ」
「歴史の勉強しなおしましょうね、ギルバート様」
「なに、これ」
「エドワード四世の徽章ですよ」
「それ誰」
「ギルバート様、やはりやり直しです」
「うえっ」
「兄上―」
「おお、来たか、リシィ」
なでなでとリースくんの頭を撫でる背の高い美青年。
「よーちんちくりん、珍しいな」
見上げるほど大きい男が言う。シェフの白衣を着ている。
「あのね、これが僕の大木で、兄上といとこ殿だよ」
「大木…」
「この間大木とセミって言われたってギルバートくん言ってたじゃない」
「うん、言われたけど、ウォルターと俺って」
「こっちのはかなりとっても「ウド」だけどね」
「おい、リシィ、そりゃどういう意味だ」
「タラシで馬鹿やってくれた糞野郎は愛してるけどかなりの「ウド」じゃん」
「ああ、そーですか・・・(ひくっ)」
「でね、こっちは最上級の檜みたいなものなの」
「持ち上げすぎだ、ちんちくりん、こいつは娘婿なんだ、よろしくな」
「えっ」
「ああ、キングメーカーって言われたってそんなに残ってるんだ」
「…まあ、そうですね」
「なんか聞いたような」
「ギルバート様、歴史の勉強」
「しなくてもいいんじゃないー僕、リチャード三世って言ってたのーよろしくねー」
「げ、えーっと確かシェークスピアの…」
「なんだったら…」
「読むんじゃない、まったくおまえは。俺の顔色見るの楽しむな」
「えー兄上、つまんない」
「つまってろ」
「とにかくよろしくねー。ねー兄上」
すっとオーナーは弟を抱き上げた。
「こんなもんだ、どーせ「ウド」だが、よろしく」
「はあ・・・」
「すごい例えですね、リースさん」
「うん、二人共大事な僕の大木なの」
「ああ・・・」
笑うウォルターにギルバートが少し驚いていた。
ウォルターが笑った・・・