今日も晴れ晴れとした青空。
いまだに女の子達の痛い視線の中、私は要くんを捜していた。


不思議なもので捜していないときは、見つけられるのに、捜すと見つからない。

間宮 朱里

…どこいったんだろ…あの後ミーコちゃんに聞いた情報では、要くんは経済部なはずなんだけど…



もしかしたら女の子達に聞いた方が早いかもしれない。いやでも、今女の子と接触するのは危険だ……



んー…と悩んでいると

石川 翔平

朱里こんなところで何してるの?



背中から声を掛けられた。


その甘くて優しいイケボは、最早名前を言わなくても誰だかわかる。

間宮 朱里

…石川くん…


恐る恐る振り返るとやっぱり彼で、相変わらず眩しいばかりのオーラを放っていらっしゃる。

石川 翔平

会えて嬉しいよ。最近少しバタバタしてて、ゆっくり話せてなかったもんね……いま暇かな?




きっと石川くんは、女の子を切っていくのに忙しかったんだろう……声はかけてくれていたけれど、一緒にご飯を食べたりお出かけすることはなくなっていた。


会えて嬉しいのは私も同じ。
でも…


暇です!!

そう叫びたい気持ちをグッとこらえて、苦笑いを1つ。

間宮 朱里

…えっと…要くんを捜してるの!!



本来の要件はこれだ。
だけど、私のこの言葉に石川くんは少し眉をしかめる


間宮 朱里

……どうしたの?

石川 翔平

いや…朱里は彼と仲が良かったかな?

間宮 朱里

……うーん…仲がいいかと聞かれると良くないかもしれない。




だって嫌われてるし。
なんてことは言えなくて、言葉を濁した。


石川 翔平

そっか…



少しホッとしたような顔をした石川くんに、私はまた自惚れそうになる。


…この人小悪魔だ…私を惑わせる小悪魔師匠だ!!!


石川 翔平

……一緒に捜すよ

間宮 朱里

い、いや、いいよ!師匠を使うなんてできません!!

石川 翔平

…もう少し一緒にいたい口実だよ…



さらりと発せられたそのセリフに、私はつい固まった。



もう!!もう!!!!


接すれば接するほど、どんどんわからない。
…いやもしかしたらペット的な意味で言ってる可能性もある。というかそっちの要素の方が強いよ。



頭を悩ませていたら

雨宮 要

翔平先輩っっ!!!



強い口調で叫ぶように呼ばれる石川くんの名前


振り向くとキッときつい顔した要くんが、勢い良く歩いてきた。




…石川くんのいるところに要くん。
そうだった……割と彼の側にいると会うことが多いよね。


石川 翔平

…どうかした?

雨宮 要

……どうして女の子を全部切ってるんですかっ??今日も声かけられてましたよね??



内心怒っているのが私には見えたけど、石川くんの前だからだろう。さっきの怖い顔は一瞬の出来事で、今は天使を取り繕っている。


石川 翔平

…ああ…

雨宮 要

……あ、あの…失礼を承知でいいます。最近の翔平先輩…見てられません。

石川 翔平

どうして…?

雨宮 要

……朱里先輩といる時の先輩…おかしいです。目を覚ましてください。




きっとさっきのやり取りを見ていたんだと思う。そして、ついに我慢していた感情が要くんの中で弾けたんだ。



私は自分で黙っていた方がいいと判断して、静かに突っ立っていた。


石川 翔平

……わからないけど、どんな子とするより、朱里といる方が楽しいんだよね

雨宮 要

…!!?

石川 翔平

……おかしいと思われるのならそれでもいい。




私の方を見て目を細めた石川くんは、再び要くんの方を見る。


雨宮 要

…かっこ悪くてもですか?

石川 翔平

…そうだね。かっこ悪くても…俺はこっちの自分の方が好きかな。




師匠の言葉に、要くんは悔しそうな表情で唇を噛み締めた。


この前まで冷たく話していた要くんに、石川くんが少し優しいのは、雰囲気が穏やかになっただろうか。


しかしうって変わって、要くんの方がピリッとした空気をまとった。


雨宮 要

………僕の憧れてた翔平先輩はもういないってことですね。




そして真っ直ぐとそう言い放った。








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