今日も晴れ晴れとした青空。
いまだに女の子達の痛い視線の中、私は要くんを捜していた。
不思議なもので捜していないときは、見つけられるのに、捜すと見つからない。
今日も晴れ晴れとした青空。
いまだに女の子達の痛い視線の中、私は要くんを捜していた。
不思議なもので捜していないときは、見つけられるのに、捜すと見つからない。
…どこいったんだろ…あの後ミーコちゃんに聞いた情報では、要くんは経済部なはずなんだけど…
もしかしたら女の子達に聞いた方が早いかもしれない。いやでも、今女の子と接触するのは危険だ……
んー…と悩んでいると
朱里こんなところで何してるの?
背中から声を掛けられた。
その甘くて優しいイケボは、最早名前を言わなくても誰だかわかる。
…石川くん…
恐る恐る振り返るとやっぱり彼で、相変わらず眩しいばかりのオーラを放っていらっしゃる。
会えて嬉しいよ。最近少しバタバタしてて、ゆっくり話せてなかったもんね……いま暇かな?
きっと石川くんは、女の子を切っていくのに忙しかったんだろう……声はかけてくれていたけれど、一緒にご飯を食べたりお出かけすることはなくなっていた。
会えて嬉しいのは私も同じ。
でも…
暇です!!
そう叫びたい気持ちをグッとこらえて、苦笑いを1つ。
…えっと…要くんを捜してるの!!
本来の要件はこれだ。
だけど、私のこの言葉に石川くんは少し眉をしかめる
……どうしたの?
いや…朱里は彼と仲が良かったかな?
……うーん…仲がいいかと聞かれると良くないかもしれない。
だって嫌われてるし。
なんてことは言えなくて、言葉を濁した。
そっか…
少しホッとしたような顔をした石川くんに、私はまた自惚れそうになる。
…この人小悪魔だ…私を惑わせる小悪魔師匠だ!!!
……一緒に捜すよ
い、いや、いいよ!師匠を使うなんてできません!!
…もう少し一緒にいたい口実だよ…
さらりと発せられたそのセリフに、私はつい固まった。
もう!!もう!!!!
接すれば接するほど、どんどんわからない。
…いやもしかしたらペット的な意味で言ってる可能性もある。というかそっちの要素の方が強いよ。
頭を悩ませていたら
翔平先輩っっ!!!
強い口調で叫ぶように呼ばれる石川くんの名前
振り向くとキッときつい顔した要くんが、勢い良く歩いてきた。
…石川くんのいるところに要くん。
そうだった……割と彼の側にいると会うことが多いよね。
…どうかした?
……どうして女の子を全部切ってるんですかっ??今日も声かけられてましたよね??
内心怒っているのが私には見えたけど、石川くんの前だからだろう。さっきの怖い顔は一瞬の出来事で、今は天使を取り繕っている。
…ああ…
……あ、あの…失礼を承知でいいます。最近の翔平先輩…見てられません。
どうして…?
……朱里先輩といる時の先輩…おかしいです。目を覚ましてください。
きっとさっきのやり取りを見ていたんだと思う。そして、ついに我慢していた感情が要くんの中で弾けたんだ。
私は自分で黙っていた方がいいと判断して、静かに突っ立っていた。
……わからないけど、どんな子とするより、朱里といる方が楽しいんだよね
…!!?
……おかしいと思われるのならそれでもいい。
私の方を見て目を細めた石川くんは、再び要くんの方を見る。
…かっこ悪くてもですか?
…そうだね。かっこ悪くても…俺はこっちの自分の方が好きかな。
師匠の言葉に、要くんは悔しそうな表情で唇を噛み締めた。
この前まで冷たく話していた要くんに、石川くんが少し優しいのは、雰囲気が穏やかになっただろうか。
しかしうって変わって、要くんの方がピリッとした空気をまとった。
………僕の憧れてた翔平先輩はもういないってことですね。
そして真っ直ぐとそう言い放った。
『憧れ』って、自分の理想を他人に押し付けることなのかなぁ…。
だとしたら、迷惑な話だ……。
想いに素直になってる石川くんの方が、きっととっても素敵なのにね……。